第37話
キッチンに戻り作りかけの夕飯をみて…笑えた。ミナちゃんに食べて貰えたら…なんて思いながら作ったクマの形をしたハンバーグ
こんなものを律希さんに見られたら…また要らぬ罪悪感を感じさせそうな気がする。
『結構上手く焼けたと思ったんだけどな…』
子ども心を掴むのは難しい、っと改めて感じつつ…フライパンの上に乗ったハンバーグにケチャップをかけてその場で立ったまま食した。
一人暮らしの時はいつもこんな風にフライパンや鍋のまま直でご飯を食べていた。私という人間はこういうズボラ女子だ。ファミリー向きではない。
帰りはパパに連絡すると言っていたミナちゃん。おそらく仕事帰りにそのまま迎えに行くだろうし…合流して一緒にご飯を済ませてくるかもしれない。
けど、もしも万が一食べずに帰ってきてしまった時の為に…一応律希さんの分の夕飯を用意して…それはきちんとお皿に乗せてラップをしてダイニングテーブルの上に置いておいた。
私が出来ることはここまで。あとは家族で楽しんでくれればそれでいい。
一人お風呂を済ませて自室に籠り、ヘッドホンをつけてパソコンを操作していた。音楽を聴きながら作業をしているとはかどる…別に他の音を聞きたくないからとかそーいうんじゃない。
どのくらいパソコンと向き合っていたのか分からないが…突然、部屋の照明がパッと明るくなったことに驚いてイスから転げ落ちそうになった。
「……驚かせてすまない、何度も声を掛けたが返事がなかったから、、」
開かれたドアの前で申し訳なさそうな顔をして立っている律希さん。スーツ姿のままということは…今帰ってきたのだろうか?
『─…お帰りなさい、お疲れ様でした。ミナちゃんは一緒でしたか?』
ヘッドホンを片付けながら問いかけたが返答がなくて…再び律希さんに視線を向ける
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