第26話
「ミナは─…亡くなった兄夫婦の一人娘。当時まだ5歳だったミナを引き取ったのが俺…俺しか育てられる人間は居ないと思ったから─…」
あまりに驚愕の事実に言葉が出て来なかった。私は本当に彼のことを何も知らずに結婚してしまったらしい。
「まぁでも親権が俺にある訳じゃない。独身で子どもを養子にするのは難しいみたいで─…」
よく…分からないが、未成年後見人がどうとか養子縁組がどうとか…色々ややこしい話をされたが正直ついていけなかった。
「だから…君には実夏の面倒をみる義務も資格もない。本当にただ一緒に住んでくれればそれでいいから…」
そういう話しをしてるんじゃない。私がいま一番このポンコツに言ってやりたいことは…そんな話じゃないっ。まず第一にどうしてあの時っ
『どうして、言ってくれなかったの…?ご実家に挨拶に行った時に、きちんと挨拶するべきだったでしょ…?』
ご両親にではなく、お兄さんご夫婦に…手を合わせることも無く帰宅するなんて、、
「その必要は無い。両親だって手を合わせろなんて言わなかっただろ?あの家にはそういう物を置かないようにしてる─…実夏のために」
──…どうして?
「毎週、土日…週末は実夏は実家に泊まりに行ってるんだ。孫に会いたいから…なんて両親は言ってるが…おそらく俺に自由な時間を与えようなんて配慮から言い出したことだと思う」
待って待って…だからそういうんじゃなくて、
『そんな大事な話、どうして黙ってたの?!』
もうここまできたら怒りなんてものは通り越して呆れてくる。しっかりした大人びた人だと思っていたこの男は─…どうやらどうしようもないポンコツ人間だったらしい。
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