第17話
その後、インターホンが鳴り私の荷物が届いたのでおうち探検はそれにて中断された。
「パパ〜ホットケーキ食べよう〜」
小学何年生なのかは不明だが、おそらく低学年だと思われるミナちゃん。一人でホットケーキを焼くことが出来るスペックの高さに驚きつつ、律希さんの手を引いてダイニングへと消えていく二人の後ろ姿は─…仲のいい親子。
決して私が壊してはいけない領域。
「……お荷物、こちらで宜しいですか?中までお持ちしましょうか?」
引越し業者のお兄さんが気を使ってくれるが、私の荷物のために他人をこの家に入れるのもどうかと思い丁寧に断って自分で荷物を運ぶ。
荷物、なんていってもそこまで大荷物ではない。ダンボール二箱に入るほどのものしか持ってこなかった。あとのものは全て捨てた。
これはひとつの私のケジメ。一応新たな人生をスタートさせるつもりで…必要最低限のもの以外は全て捨ててきたんだ。それに三年後には出ていくことになるし…荷物は少ないに越したことはない。
「─…貸して、俺が運ぶ」
ひと箱、手に抱えて玄関の扉を開こうと手こずっていたところに律希さんが現れて軽々と荷物を持ってくれる。
『っあ…ミナちゃんは、』
「奥でホットケーキ食べてる。後で絢音も一緒に食べよう」
玄関先に置かれていたもうひとつのダンボールに、先に持っていた荷物を重ねると…2つまとめて手に抱えた律希さんを見て、思わず目を見開く
「……これでも一応男だ、これくらい余裕。」
一瞬、口角を上げて笑って見せた律希さんに不覚にもドキッと胸がときめいた。…いや、ときめいたっていうかザワついた?何だろう…かっこいい俳優さんを見たときみたいな、うん…そんなやつだ、、きっと。
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