第15話

「ここが洗面台と風呂場で…こっちがトイレ。廊下を挟んだ向かい側の部屋が綾音の部屋。とりあえずベッドとか机とか…適当に用意させてもらったけど、気に入らないなら別のものを用意するから遠慮なく言ってくれ」




私の部屋…だと言われて覗き込んだお部屋は、真新しい家具が揃えられた部屋が既に完成していて…驚愕する。






『あ…あの、ここまでしてもらうのはっ』



「─…絢音は、俺の妻だろ?このくらい普通だと思うけど?」





律希さんのその言葉にハッとした。ミナちゃんの前で偽り婚の感じを出すのは…NGだよな?






『…嬉しいですっ、ありがとうございます』





隣に立つ彼を見上げて笑いかければ…片腕に抱かれている小学生女子の痛い視線が飛んできてヒヨる。





「……パパ、笑っちゃダメ」




私から顔を背けてギュッと律希さんにしがみつくミナちゃんを見て、少し心が傷んだ。─…ごめんね。私は本当の奥さんじゃないから、貴方からパパを奪うようなことは絶対にしないから─…許してね、ミナちゃん

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る