第10話
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二人で律希さんの自宅へ向かう道中で、彼のご実家に挨拶に行った時のことを思い出した。
律希さんのご実家は、着物や和装、染織物を扱う老舗ブランドの呉服屋さんをされているみたいで─…”家業を継ぐ”としか聞かされていなかった私はご実家に挨拶に行った際に…古風な平屋の御屋敷のような場所に案内され、とんでもなく驚愕したことはまだ記憶に新しい。
【結婚したいと思える女性に出逢えた】
彼がご両親にそう告げた時…お義母さんの目からボロボロと涙が零れ落ちたのを見て、とんでもない罪悪感が芽生えた。
「絢音さんっ、本当に…いいんですか?!ご存知だとは思いますが…律希は色々背負っているものがあるでしょう?あなた、苦労することになると思うけど、本当にいいの?」
今から思えばこのお義母さんの”背負っているもの”という言葉の意味は…律希さんの娘さんのことだったのかもしれない。
─…が、その時の私はそんなこと知るはずも無かったので、次期社長としての重圧みたいなものを背負っているのだと勘違いして、、
『彼が押し潰されてしまう前に、出会えてよかったです。これからは私が半分背負うんで!支え合って一緒に生きていこうと思います』
もちろん嘘だ。親に気に入ってもらえなければこの結婚は破談になる。それだけはどうしても避けたくて売れる媚びは売りまくった。
「律希が身を固めてくれて…母はようやく安心しました。絢音さん、これから律希のことをどうか…よろしくお願い致します」
「もう一人、下に
ある意味とんでもない重荷を背負って生きることになった気がするが、想像以上に律希さんの両親に気に入られた理由がいまいち分からなかったが─…全ては”孫娘に母親が出来た”っという安心感から来るものだったのだ、と…ようやくいま理解した
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