第4話
『………離婚しましょう。』
歩いていた足を止め、たった今出てきたばかりの役所に戻ろうとした私の腕を律希さんが強く掴んだ
「約束が違うっ…三年は離婚しないって話だったよな?今更ナシなんて、勝手すぎるだろ」
『……いやっ、勝手なのはそっちでしょ?!子どもが居るなんて大事なこと、どうして黙ってたんですか?!知ってたら結婚なんてしなかったっ!』
「そう言うと思ったから、言えなかった」
─…なんだって?!っえ、今なんて言った?
「子どもが居ると言えば、結婚しないと言われそうだったから…黙ってた」
この男…マジか。いやこれってさぁ…詐欺じゃね?契約結婚とはいえ、これはっ!立派な結婚詐欺というやつに値しませんかね?!
『そんな大事な話を黙ってるなんて…人として最低ですよ、あなた。』
「あぁ…そうかもしれないが、お前も聞かなかっただろ」
──はい?っえ、いま…何と仰いました?
「結婚する前に、俺は何度も"本当に後悔しないか"っと尋ねたよな?」
『それはっ…私にも結婚しなきゃいけない理由があったからで。でも子どもが居るなんてっ』
「事前にちゃんと確認しなかったお前にも落ち度はあるだろ。何も娘の母親になってくれなんて頼んでる訳じゃない。ただ…一緒に住むことになるから伝えただけだ。娘のことは全て俺が面倒を見る、君に迷惑は掛けない…約束する」
………いや、確認しなかった私が悪いみたいな言い方、やめてもらっていいかな?
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