第20話

凪砂はそっと私の身体を離すと、再び私の髪に触れる






ーー・・・そして







「ーー・・・行ってくる、萩花」






いつも別れ際に言うセリフと同じことを言うから、、







『っいってらっしゃい!凪砂っ・・・大好き"だった"よっ!』






っと、私もいつもと同じことセリフに少しアレンジを加えて返した。もちろんあのバカな敬礼ポーズも一緒に。






凪砂が安心してここから立ち去れるように、精一杯の笑顔で見送った。






そんな私を見て、凪砂はフッと一瞬優しく笑うと背を向けて去ってしまった。







今度はもう振り返ることなく、心做しか先程よりも早足で、、







きっと凪砂の背中を見るのはこれが最後のような気がした。それは凪砂が死んでしまうとかそういう意味じゃなくて、ただもう会えることは二度とないような、、そんな気がしたんだ。

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