第36話

ゴシゴシと拭い続けていた唇を、今度はグッと力を込めて噛みしめる





ブチッと嫌な感覚と共に、口の中いっぱいに広がる血の味





ーーー...あぁ...悔しかったんだ、あたし





昔から、負けず嫌いで悔しい思いをした時は、血が出るまで唇を噛むくせがあった






神崎にされるがままで、バカな連中に言いたい放題言われて、惨めな姿を吉野に見られて…





それでも、何も言えなかった自分が...





悔しくてたまらないんだ……





『っんの…バカ男、、絶対許さなぃっ』





自由の効かない足首を、泣きながら何度も殴りつける






ーーー……放課後には元に戻るから





だから、今だけ...





今だけでいいから、泣いたっていいよね、、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る