第9話部屋に戻っても日常には戻らない 2
「だってまだ気が済んでないし」
「どうすれば気が済むんだよ?」
「キスとか?」
なんでそうなるのかな?付き合ってない人によくそんなこと言えるな。
「キスは好きな人とするべきだろ」
「うん、だから」
なんでそこまで執着するかな、僕に。
まあ、僕も似たようなものかもしれないけど。
「相手もそう思ってないと意味ないだろ」
「ふーん、その口ぶりでは好きな人とキスしたことがあるのかな?」
「・・・・・・」
「その反応見れたから今日は満足かな。じゃ」
そう言って部屋から出ていく凛花をただただ目で追うことしか出来なかった。
◆
夕食の時間となった。木曜日は普段より少し遅くなる。
理由は夕食を作るお母さんが迎えに来るためである。
お父さんはお母さんの尻に敷かれているが木曜日だけは譲らなかった。
だから、どれだけゲームにハマってるんだよ!
そう思いつつリビングに向かうとお父さんがご機嫌になっていた。
多分、引けたんだろうな。
あのキャラで相当環境が変わりそうだからな。
お母さんが怒ってないところを見るに今回は課金をしなかったのだろう。
お父さんは強いキャラは課金してでも取りに行く人だからな・・・・・・
僕はもちろん無課金ですけど。たださすがに今回のキャラに関しては課金してでも欲しいキャラだったかもしれない。しかし、課金する=お母さんに怒られるという意識があるためすることはないが。
凛花は制服から着替えて薄着になっている。多分パジャマだろう。
時間があったため先にお風呂を済ませたのかもしれない。
男が一緒に住んでるのに無防備過ぎだろ。
目のやり場に困るから着替えてもらいたいものだが家族の前でそんなこと言えるわけもなくそのまま夕食を食べた。
◆
夜。まだ寝るには少し早い時間になった。
僕は自分の部屋で宿題をしていた。凛花がいたため宿題が出来ていなかったのだ。
夕食前まではパズレンをしていたため全く手をつけてなかった。
もう少しで終わるというところで扉をゆっくり開ける音が聞こえた。
そちらに目を向けると凛花が立っていた。
「ノックしろよ」
「ごめんごめん、本ありがとね」
凛花が持っていたのはコホラの最新刊。僕が貸したやつだ。
「いや、別に」
凛花の笑顔にある思い出が重なり急いで目を背けた。
「それにしても面白かったね」
そりゃそうだ。丁度漫画ではアニメの最終盤辺りの内容で一番盛り上がっているところである。
漫画の進み具合的に2期はあっても大分先になりそうである。
しかし、なぜ凛花は部屋に入ってきてベッドに座るのだろうか。
「それで、今度はいつまでいるつもり?」
「う~ん、眠くなるまで」
僕の部屋でも凛花は隣にいるつもりらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます