『かそう』
祖父の墓参りに行ったときの話です。命日に偶々近くを通りかかったので、3歳の息子を連れて行きました。年末の、小雨のぱらつく寒い日でした。平日なので誰もいない墓地を、祖父のお墓に向かって歩いていると息子が突然何か言い出して。
「かそう!」
さっきまでの会話と何の繋がりもない言葉だったので最初は意味がわからなくて、息子に聞き返しました。
「え、なに?」
「かそうだよ!」
“かそう”……頭の中でその文字列を変換してみたら急に怖くなって、急いで息子の手を引いてお墓を目指しました。息子はその後は特にその言葉を口にすることもなくいつも通りの様子だったので、そのまま墓参りを済ませて帰りました。
……これが例えば秋頃の話だったら、ハロウィンの“仮装”のことかな、保育園でそんな話題が出たのかなと微笑ましく受け止めてたと思うんですけど、もうそんなイベントはとっくに終わった年末の話だったので、どうしても別の言葉にしか思えなかったんですよね。
“火葬”なんて言葉、まだ3歳の息子が知ってる筈ないのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます