第19話

19 休息



あれから数日が経ち、私は幾分落ち着きを取り戻していた。


日が過ぎゆく度に、現実感がなくなっていたせいもある。


でも、あの日のケータの体温は、生々しく、私の体に残っていた。


耳元で囁かれた甘い声も…。


はぁ~~~...。


終わりがないようなため息をして、枕に突っ伏す。


今日で正月休みも終わり。


明日からは仕事が始まる。

こんな事、ずっと考えてる訳にはいかない。


佐々木も...帰ってくる。


ゆっくり考えていられるのは今日しかないのだ。


ケータは、どうしてしまったんだろう。


酔って、女の子と平気で寝てしまえる様な人なのかな。芸能人としては、それが普通なのかな。


それとも、ひかりさんと何かあったとか…。


だとしたら、私はめちゃくちゃになっていたケータを、もっとちゃんと支えてあげた方が良かったんじゃないか。


そういえば、あんなに酔ったケータを初めて見た。


何度も何度も一緒に飲んだのに。

私は何度もつぶれて、寝かせてもらったのに。


やっぱり、ケータ、何かあったんだ。


いつも余裕で、大人で、なのにあの日はギリギリで自分を保っているような、危うさがあった。


やっぱり帰るべきじゃなかった。

何があっても傍にいるべきだった。


私はあんなに支えてもらったのに、あの日は逃げて帰る事しかできなかった。


私は居ても立っても居られなくなり、急いでケータイを手にとる。


"この間はごめんね。ケータを支えてあげられなかった。何かあったなら言ってね。友達だよ"



そんなメッセージを送ってみる。


それでも、ケータからの返信はなかったけれど。

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