13
第46話
年が変わり、二千十九年になった。
年越しを湊人は実家で過ごした。
珠月や拓海のことが気になりもしたが、珠月の両親からは正月明けに一緒に大学病院へ付き添ってほしい旨の連絡を以前にもらっていたため、それ以降連絡がないのは珠月の状態に変わりがないからだろう。
拓海についても拓海の両親や谷原刑事から連絡はないので、まだ眠り続けているのだろう。また、
年末年始は世間の
だが、距離が近いがゆえにわざわざ帰省しようという気も起きず、大学に入りひとり暮らしを始めてからは今回が初めての帰省となった。
実家は
湊人は実家の居間にあるコタツに横になり、ただぼんやりと珠月のことを考えた。
そうすると浮かんでくるのは、先日珠月と一緒にイルミネーションを見にいったよみうりランドのことばかりだった。
その時の
叶うなら、また珠月とあの日のような時間を過ごしてみたい。
湊人は頭の後ろで手を組み、寝っ転がったままそんなことを思った。
拓海と珠月の恋愛を応援していたはずなのに。
いつしか、湊人は自分の幸せを願うようになっていた。
もしかしたら、もう自分は引き返せないところまで来てしまったのかもしれない。
そんなふうにすら思う。
実家で過ごした年末年始の数日、湊人は珠月のことを
帰省を終え、ひとり暮らしのアパートに戻り、休んでいたアルバイトのシフトに復帰すると、ふたたび現実に戻ってきたように思った。
アルバイトで忙しくなると、自然と珠月のことを考える時間は減った。そして手が空けばまた珠月のことを考えた。
それから数日が過ぎ、やがて珠月の大学病院へ転院の日を迎えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます