ねーねとにーに



2026年 5月


「ちーちゃんもねーねとにーにとおりゅの!」


ねーねとにーに、一番上の陽葵お姉ちゃんとその奥さんの陽斗お兄ちゃんが実家を出て引越しする事になり、その作業が終わって帰りたくない、ねーね達と一緒がいいと4歳の僕は駄々をこねていた。まあねーねはもちろんだけど、どちらかというと僕はにーにが大好きだったから、にーにと離れるのが嫌だったのを覚えてる。にーにはねーねと同じ誕生日の幼なじみで、家がお隣さんだったから、僕も他のお姉ちゃん達も本当のお兄ちゃんみたいに慕ってたし、にーにも本当の妹や弟みたいに僕たちを扱ってくれてた。僕と咲里が子育てしながら、恵梨を学校通わせながら福岡にいた時も、にーにはひま姉が試合の日は暇だからなんて言ってよく様子を見に来てくれたし、ご飯してくれたり、僕も男だから分かるんだけど決して多くない自分の男性年金からお小遣いとか言ってお金渡してくれたりしてた。


「にーに、親からの仕送りもあるし、恵梨も困るごたこつにゃあけん別にええよ」


何回も僕はそう言ったけど、何があるか分からんけん取っとけ、お姉ちゃんも心配しとるけんて無理矢理渡された。僕も咲里も恵梨も学費やら免許取るお金とバイクや車もひま姉に買ってもらったりして、いくらひま姉がプロ野球で活躍していっぱい稼いでるとはいえ、僕も咲里もただ色々してもらうのは申し訳なさすぎて、大学卒業後教師に赴任してからは毎月ちょくちょくこの時のお金を返してた。けど、ひま姉とにーに夫婦両方に、あんた達に出したお金は貸したんじゃないけんやめろってしつこく言われて、返したはずのお金が逆に返ってきた。後に聞くと、これはよし姉も璃華姉達も同じ経験をしてた。見返りとか何も求めずになぜそこまでできるのか、ひま姉に聞いてみた事がある。


「そら私なみんなの姉ちゃんだけん」


返ってきた答えはそれだけだった。にーにに聞いても答えは同じ、みんなのお兄ちゃんだけんって。だから下の子達に色々してやるのは当然だみたいな顔をしてた。それを聞いて僕はみさ姉と2人、やっぱこの人達にはかなわんなと顔を見合わせた。










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