璃華編
私と弥咲
2016年3月7日
この日、葛西家の三女として私は産まれた。上の二人の姉ちゃんはどっちもスポーツ少女って感じで元気溌剌なタイプだったけど、私はどちらかというとその後ろを隠れてトコトコついていくような子供だった。それは同い年で家が隣の幼なじみ、弥咲もそうだった。まあ弥咲は上に兄ちゃん1人だったからそうなるのは必然的だけど、私は上の姉ちゃん2人が色々と凄すぎてそれを反面教師にしてたんだと思う。特に1番近い姉ちゃんのよし姉、芳美姉ちゃんがしょっちゅうイタズラして怒られてるの見てたしね。それで、上の陽葵姉ちゃんが陽斗兄ちゃんと物心ついた時からずっと一緒だったように、私ももう産まれた時から弥咲とずっと一緒に育ってきた。弥咲は兄ちゃんに似てめちゃくちゃ可愛い顔してた・・・てか大人んなった今も同じ女とは思えないほど綺麗な可愛い顔してて、小さい頃はよく男の子に間違えられてたし、小学校からよく女子に告白されたりしてた。そんな話を聞く度、私は胸が締め付けられそうだった。そんな色恋沙汰なんか分かんない年頃だったけど、私の横から弥咲を奪わないでって、それだけをずっと思ってた。まあ、そんな事を言ったら弥咲に引かれるかもなんて思って、ずっと内に秘めてるだけだったんだけどね・・・・・・
それで中学に上がってから弥咲は更にモテるようになって、私は相変わらずいつも横にいたから疎まれる事もあった。でも弥咲はそのままでいいって言ってくれた。そして、中学卒業後の進路を考える時期、私はてっきり弥咲は頭いいし進学校行って東京の名門大学を目指すんだろうななんて思ってた。けど・・・・・・
2030年 夏
「私は別に明確な目標もにゃあし、璃華と同じ学校にする」
「え、ばってん充希兄ちゃんも咲良姉ちゃんも弥咲には期待して・・・」
「なん、そぎゃん勝手に期待とかされても嫌だもん。それにどこ行くにしても、あんたと一緒じゃにゃあと嫌だけん」
「それどぎゃん意味?」
「自分で考えれバカ!」
そう言って、黙って勉強を再開する弥咲。この時の私は考えるまでもなくそれが何を意味するか分かってたけど、言えなかった。なぜか、それはここで言うことじゃないって思ってたんだ。そして、その弥咲の言葉を聞いて、私は昔の幼い日の記憶を思い出していた。
「みさき(こいつ小さい頃は一人称が名前だった)ね、りかとずっといっしょおりちゃ、だけんね、りかもずっとみさきといっしょおってね、やくそくよ?」
幼稚園の頃、そう言われた事を思い出して、なるほどその約束を弥咲はずっと覚えてたんだなって、そして私の方が忘れてたのが申し訳なくて、この時は何も言わなかった。そして、当然のように2人一緒に進学した私達の仲が進展するのは高校2年生の時の事だった。
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