第9話 ハウス
―――――ある夜のこと。
『…どこにいるの?』
『聞かなくてもわかんだろ。』
『落ち着かない?』
僕はまた家を出てフラフラ歩き回っていた。
『別に誰と何やってるわけでもない。』
『逆なら?』
『殺す。』
『同じことしようか?…ってして欲しいからこうしてんだよね。』
『…なんで来てくれないんだよ。』
『…焦らしてたの。どこまで耐えられるかな?って。あんたがどこにいて何してるかなんて目閉じなくてもすぐ分かる。』
『「女神様」は違うな。』
『でしょ?…でもそんな女が好きなのはどこの誰?』
『…俺です。』
『じゃあ、そのあんたが次にする事は?』
『…ハウス?』
『えらい。よくわかってるんでしょ。…早く帰っといで。か弱い女に夜道歩かせる気?』
『待っとけ、3秒で帰る。』
『そ?できるものならどうぞ?』
僕は電話を繋げたまま、
家に向かって全力で走った。
―――――――――「はぁ…はぁ…はぁ…。」
「おかえり。」
僕が階段を駆け上るとドアを開けて待ってくれていた。
そんな彼女を抱き寄せると、
「汗だく。お風呂入るよ。」
「水…水飲みたい…」
「あるから。」
僕らはどんなときもあまりテンションが変わらない。
暗い…。落ち着いてる…。そんな感じ。
彼女は僕の事を理解して一緒に居てくれている。
このちょっと変わった世界でだいぶ変わった
ちょっと変わった人。
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