第42話

最上階からエレベーターに乗る



ガラス張りになっているエレベーター



なんだか気持ち悪いな……



ワインを飲みすぎたことを後悔する




「夏月さん、大丈夫?」



東城さんに身体を支えられてエレベーターを降りると、



「ちょっとここで待ってて」



とロビーのソファーに座らせてくれた




少し良くなったかも



エレベーターに乗っていたからかな



ちょっと遠いけどタクシーで帰ろう



そう思っていると、



「お待たせ」



東城さんが戻ってきた




「今日は本当にありがとうございました」



私はもう一度お礼を言って帰ろうとすると、



「ちょっと待って」



東城さんに腕を掴まれて身体を引き寄せられた




「部屋を取ってある」



真剣な顔で見つめられる



え……これって



私は驚きのあまり固まってしまう




「俺は本気だよ」



顔をさらに近づけて囁いてくる東城さん



……ドキドキ




今はもう彼氏もいないんだし良いかな



酔っ払っていて正常な判断が出来ない



手を引かれてついて行ってしまう




すると、



「主任、迎えに来ました」



後ろから声がして振り向く




……そこには五十嵐が立っていた




「え?なんで?」



戸惑っていると私の手を掴んで東城さんから引き離す



「なんだお前」



東城さんが怒っている



もう、なんなのコイツは




一度私の手を離すと、東城さんに近付いて何かを耳打ちする



何だろう



何だか怖い顔をしている東城さん




「ねえ、何なの?」



私が必死に聞いても、



「いいから行きますよ」



強引に私の手を引っ張って歩き出す



東城さんは何も言ってこない




「東城さん、すみません」



私は訳も分からず五十嵐について行った

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