第30話

歯を磨いた後、リビングでテレビを見ている愛未に話を切り出す



「後輩の田中くんがさ、松山くんと高校の同級生なんだって」



「ふーん、そうなんだ」



「それで今日飲み行かないかって電話来たんだけどどうする?」



「え?今日?」



愛未はびっくりして動揺している




いきなり飲み会は気まずいかな?



私もそんな気分じゃないし、出来れば行きたくない



返事をしないで黙っている愛未に声をかけようとすると、



「暇だし行こうか」



意外な言葉に驚かされる




「憂佳、気分転換しなきゃね」



たしかにそうだけど気が重い



でも、クヨクヨしてたって仕方ないのも分かる




私が迷っていると、



「私に付き合うと思って、お願い!!」



愛未が頭を下げてくる



本当は松山くんに会いたいんだな



それなら仕方ないか……




「わかった、行こう」



田中くんに連絡をすると、すぐに返信が返って来た




「6時に駅前に集合だって」



「別れてから会ってなかったから緊張するな」



「そういえば、何で松山くんと別れちゃったんだっけ?」



ふと思った質問を投げかける



たしか愛未が松山くんにフラれたんだけど、詳しい理由を聞いた記憶がない




「私が就職してから忙しくて会えないでいたら愛想つかされた感じかな」



「向こうは大学生だったしね」



社会人と大学生じゃなかなか難しいもんね




「再会したらまた好きになりそう?」



「うーん、タイプだからね」



「今まで彼氏が出来なかったのは理想が高くて堅太以上の人がいなかったからだし」



たしかに松山くんは背がスラッとしていてカッコ良い



愛未がそこまで好きになったんだから、きっと性格も良いんだろうな




「松山くんカッコ良いもんね」



「けど向こうは彼女出来ているだろうな」



昨日松山くんは愛未のこと気にしていたけど、期待させるようなことは言えないな




「会ってダメなら、しっかり諦めるよ」



再会してはっきりしたら愛未も前に進めるかな

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