第25話

帰り道、涙が止まらない



別れってこんなに辛いものだっけ?



駅に着いて必死に泣くのを堪える




運良く終電に乗ると車内は混み合っていた



金曜日だからな



窓に映る目の腫れた惨めな顔



タクシーに乗れば良かった




電車に揺られている間、涼真との思い出が蘇る



最初の頃は毎日のように会っていろんな所に行っていたな



でも、いつの間にかお互いに仕事で忙しくて会わなくなっていた




お互いに……




………いや、涼真は連絡してくれていた



仕事を言い訳にして会わなかったのは私だ



もっと二人の時間を作れば良かった



そんな後悔が頭に浮かんで涙が流れそうになる




すると、ちょうど最寄駅に到着してドアが開く



電車を降りるとホームを歩くスーツ姿の男の子が目に入った




……五十嵐だ



向こうもこっちに気付いたのが分かって慌てて目をそらす



そういえば同じ駅だった



こんな顔見られたくない




逃げるように改札を出て歩き出すと、



「待ってください」



五十嵐が追いかけて来た

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る