第24話

何度もキスをされてベッドに押し倒される



ちゃんと話さなきゃダメだ




「ちょっと、やめて!」



そう言って涼真を突き放す



「なんだよ」



不機嫌な顔をする涼真





「莉奈とどういう関係?」



やっとの想いで話を切り出すと、



「は?同期で仲良いだけだろ?」



若干怒った口調で返事をした



私から目を逸らして下を向いている



動揺しているのかな




「憂佳だって部下と仲良くしてるじゃん」



「人のこと言えないだろ」



開き直って私も同じだと言ってくる



五十嵐にそんなに嫉妬してたの?




「仲良くないよ、指導担当なんだから仕方ないじゃん」



「でもムカつくんだよ!」



イライラして声を荒げる涼真



何で私が怒られなきゃいけないの?




「……手を繋いだりしない」



「は?」



「田中くんが見たって言ってたし、噂も何度か聞いた」



はっきりそう言うと涼真は黙り込む



謝ってくれるかな




すると、



「なんなんだよ」



と怖い顔をして嘆く




「憂佳はさ、俺より後輩の男を信じるんだな」



私は何も言えない



……誤解なの?



でも、田中くんは嘘を付くような人じゃない



涼真は悲しい顔をしている




何て言ったら良いんだろう



はっきり話してくれれば良いのに




ふとベッドの下を見ると何か光っている物が見えた



よく見ると、ピアスだ



もしかして莉奈の?



そうじゃなくても女の子を部屋に上げたんだ




私はピアスを拾い上げて涼真に差し出す



下を向いて何も言って来ない




「何か言ってよ」



正直に謝ってくれても許せないかもしれない



でもちゃんと説明してほしい




すると、



「俺たち別れよう」



涼真に言われて頭が真っ白になる



それって、認めるってこと?




「別れたい理由は?」



「ちゃんと話してよ」



そう言っても涼真は何も言わない




別れたくない



そう思っても口に出せない



だってもう無理に決まってる




しばらく沈黙が続いた後、



「今までありがとう」



キーケースから合鍵を外してテーブルの上に置く



涼真は相変わらず何も言わない



私は涙が出るのを堪えながらアパートを出た

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