第18話

「愛未……いや、桐島先輩は元気ですか」



松山くんは小さい声で聞いてくる




「元気だよ」



まだ引きずっているなんて言えるはずもなくそう答えると、松山くんは何だか暗い顔をした




「連絡先変えられちゃったんですよね」



もしかして、松山くんも引きずってる?




私はそう感じて、



「今度みんなで飲みに行こうよ」



と言うと松山くんは嬉しそうな顔をした




「マジっすか?よろしくお願いします」



笑顔でビールを注いでくれる



私も注ぎ返すと一気に飲み干した




「おう、五十嵐」



すると、五十嵐が自分の席に戻って来た



「良いよな、こんな可愛い人が担当で!」



結構酔っ払っている松山くん




「あーはいはい」



五十嵐は松山くんを相手にしない




「夏月さんに惚れんなよ」



「お前彼女いないもんな」



悪ノリした松山くんは五十嵐を冷やかす




彼女いないんだ……



私がそのことに驚いていると、



「……惚れる訳ねーじゃん」



五十嵐が小さい声でそう嘆くのが聞こえた



今にも怒り出しそう




私は慌てて



「松山くん、そろそろ戻った方が良いんじゃない?」



と言うと、



「じゃあまた!よろしくお願いします」



と調子良く言って個室から出て行った




怒る寸前だった五十嵐



酔っ払って言うことなんて気にしなきゃ良いのに



松山くんがいなくなった後も不機嫌な顔をしている



私は自分の席に居づらくて席を立ってトイレへ向かった

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