第17話

「長い話は抜きにして……乾杯!」



その日の夜課長の挨拶で飲み会が始まる



朝会は長いのに乾杯の挨拶は短いんだよな



きっと課長も早く飲みたいんだろう




「先輩、飲んで下さいよ」



田中くんに言われてビールを飲み干す




「夏月、良い飲みっぷりだな〜」



真っ赤な顔をして笑っている課長



もう酔っ払ってる?



課長はお酒に弱いけど、上機嫌になるだけで害は無い




私の向かい側に座っている五十嵐



照明のせいで顔がよく見える



本当美形な顔してるな



きっとすごいモテるんだろう



でも、女が嫌いなら彼女もいないのかな




あ、目が合った……



やっぱりあからさまに嫌そうな顔をする



顔を見過ぎた自分が恥ずかしくなる




「酔っ払う前に三課に挨拶して来い」



係長がそう言うと五十嵐は席を離れた



そういえば三課もここの店で歓迎会をしているみたい




「あいつ、どうですか?」



田中くんに言われて返答に困る



「うーん、優秀だと思うよ」



ここで愚痴を言ったって仕方無い



生意気なんて言っても信じてもらえるかどうか




「お久しぶりです」



すると、若い男の子に声をかけられた



??



あ!愛未の元カレだ……




「松山くんだっけ?」



「はい!松山堅太です、よろしくお願いします」



すごい大人っぽくなったな……



愛未と付き合ってた時は大学生だったっけ



顔が真っ赤だけどお酒飲みすぎなのかな?




「俺たち高校の同級生なんですよ」



田中くんがすかさず会話に入って来る



同い年なのは分かっていたけど、まさか同じ高校とはびっくりだ




「松山のこと何で知ってるんですか」



「うーん、友達の後輩」



私がそう答えると、



「おい田中、酒持ってこーい」



田中くんは課長に言われて席を離れた

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