第13話

「え?よろしいんですか?」



「お世話になっている鈴木さんの紹介ですから」



「鈴木さん、ありがとうございます」




私が一礼すると鈴木さんはにこやかな表情で



「いつも良くしてもらっているからね、東城くん頼むよ」



そう言って行ってしまった




「俺、美人に弱いんですよね」



近づいて来て小さい声で言う東城さん



大人っぽい香水の香り……




「今度、二人で食事でもどうですか?」



「はい、ぜひお願いします」



私は契約が取れるかもしれないことで頭がいっぱいで即答してしまう



二人でって言葉が引っかかるけど、親睦を深めることは大切だよね



東城さん良い人そうだし仲良くならなきゃ……




「良い返事が出来るように頑張ります」



「では、仕事があるので」



東城さんはそう言って忙しそうに去って行った





………あれ?



さっきまで後ろにいたはずの五十嵐がいない



何も言わないで行かないでほしい



私は五十嵐を探しながらイベント会場を歩く




こういう広告も良いな……



他の会社の広告に目を引かれる



すると、後ろに五十嵐がいるのに気づいた




「ちょっと、勝手にどっか行かないでよ」



五十嵐は私の注意を無視して、



「チヤホヤされて喜ばない方が良いですよ」



「女は良いですよね」



冷たくそう言った





………相手にするのは止めよう



私は大人になって怒りたい気持ちを抑えた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る