第12話

「夏月さん、今日は来てくれてありがとう」



イベント会場に着くと、担当者の鈴木さんが声をかけてくれた



50歳くらいの人でいつもよくしてもらっている




「一緒に来たのは新人くん?」



「そうなんです、指導担当になりました」




私は五十嵐に挨拶するようにアイコンタクトを向ける



「五十嵐です、よろしくお願いします」



他の人に対しては本当に愛想が良い




「美男美女でお似合いだね」



「いや、俺なんて相手にされないですよ」



そうやって思ってもないことを言う



調子良いこと言ってムカつくな……





「夏月さん、紹介したい人がいるんだけど」



そう言われて鈴木さんに付いていくと、




「この人、東城さんの息子さん」



30代前半くらいの男性を紹介された



背が高くてキリッとした顔立ちをしている



出来る大人って感じでカッコ良い




東城さん………もしかしてTojyoの次期社長?



今力を伸ばしている販売会社で、店舗数も増えてきている



営業一課が契約を取ろうとして断られたっていう話を思い出す




「初めまして、東海林食品の夏月です」



「東城隼人です、よろしく」



東城さんは名刺を交換すると笑みを浮かべた



意外と優しそうな人だな……



下の名前ははやとって言うんだ




「綺麗な方で驚きました」



社交辞令だと分かっているけど嫌な気はしない



「ありがとうございます」




すごいチャンスだ……



何とかお近付きになって契約を取りたい……




そう思っていると、



「契約出来るように父に言ってみましょうか」



東城さんに言われて驚く



私そんなに顔に出ていたかな……

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