忘れられない想い

第51話

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あの日から2週間……



翔汰とは普通の幼なじみに戻った



いや、普通ではない



"幼なじみとして仲良くしてね"



無理してそんなことを言ったけど、仲良く出来る訳がない




幸せだった観覧車でのキス……



諦めようとしてもこんな状態じゃ諦められない



今は翔汰を見るだけで辛い




「えれな、おはよう」



「あ、おはよう」



朝、家の前で翔汰とばったり会ってしまった



今日は朝練が無いから時間が被ってしまったんだ



"これからも一緒に登校したい"



あの後、そう言われたけど断って一本遅い電車で行くようにしていた




「えれな……」



「あ、忘れ物した!」



私は翔汰に何か言われそうになって慌てて家に戻る



これじゃ避けすぎだよな……



玄関で立ち往生していると、



「何してんだよ、早く行くぞ」



お兄ちゃんにそう言われて仕方なく外に出る



幸い翔汰の姿はもう見えなかった




「最近変だぞ?大丈夫か?」



学校に向かいながら心配してくるお兄ちゃん



翔汰への告白がダメだったことは話してある




「大丈夫だよ、もう普通に戻るから」



私が心配かけないように無理して言うと、



「えれなが辛いなら避け続ければ良い」



「お前ら幼なじみってことに縛られすぎ」



優しくそう言ってくれた




たしかに……幼なじみってなんなんだろう



付き合うより大事な関係なの?



幼なじみじゃなかったら他の子みたいに付き合えた?



"やっぱりずっと幼なじみでいたい"



翔汰が望んだことだけど、もう応えられそうにない

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