第49話

……翔汰、遅いな



しばらく待っていたけどなかなか帰ってこない



水を買いに行っただけなのに



私は頭が少し痛かったけど、立ち上がって翔汰の歩いて行った方に向かってみる




自販機の近くに翔汰がいる



声をかけようとすると、遠くをじっと見て立ちすくんでいるのが分かった



メリーゴーランドの外で小さな男の子を見ているお母さん……



男の子もお母さんも笑い合っていて楽しそう



……??



あれ、翔汰のお母さんに似ている……





「おい、待ってろって行っただろ」



翔汰がやって来て心配そうに言う




「あれ、翔汰の……」



私が言いかけると、



「………いいから座るぞ」



翔汰は私の手を引いてベンチに戻る



気のせいだったのかな……





「ちょっと休もう」



何だか様子がおかしい翔汰



何を考えてるんだろう………



空気が重くて話しかけられない





しばらく沈黙が続いて、周りが暗くなってきた



目の前にある観覧車に明かりがつく




「……観覧車乗ろうよ」



翔汰は黙って頷いて観覧車に向かって歩き出した

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