第19話

翔汰が帰った後、勉強するために机に向かう



あー、全然集中出来ない!



何も手につかず頭を抱えていると、



「……えれな、入っても良いか?」



お兄ちゃんがドアを叩いた




「はーい、良いよ」



そう返事をすると、私の部屋に入って来てベッドに横たわる



もう!翔汰とやってること一緒なんだけど……




「翔汰と付き合うフリするんだって?」



お兄ちゃんは真面目な顔で聞いてくる



「翔汰、もう言ったの!?」



そんなこと簡単に言えるなんて信じられない




「ああ、俺にはちゃんと言っとかないとまずいと思ったんだろ」



お兄ちゃん、意外と怒ってないんだな……



反対して翔汰を怒ってくれれば良かったのに




「お前、辛くないの?翔汰のこと好きなんだろ?」



……え?何で知ってるの?



まさか、翔汰が言ったのかな……





「………翔汰が言ったの?」



私は否定せずに恐る恐る聞いてみる



「いいや、翔汰からは何も聞いてないよ」



「3年前、いきなり翔汰のこと避け始めただろ……それで気付いた」



私分かりやすいからな……



それに昔からお兄ちゃんは何でもお見通しだ




「いや………でも昔のことだし!今は何とも思ってないから大丈夫だよ!」



「お前、分かりやすすぎ」



今無理していることもバレたか……



でも、結菜とお兄ちゃんのためだし……



私が黙っていると、



「まあ、お前が決めたなら好きにしろ」



お兄ちゃんはそう言った



止められると思ってたのにやっぱり変だ



翔汰はどう説明したんだろう




「たしかに翔汰の人気で部活邪魔されたくないし」



「でも、嫌な思いするなら俺がやめさせるからな!」



何だかんだ言って私のことを心配してくれるお兄ちゃん



「うん、ありがとう」



私がそう言うと、黙って頭を撫でてくれた




「そういえば、お兄ちゃんは今彼女いないよね?」



結菜のことを思い出して確認してみる



「うん、前にも言ったけど部活終わるまでは彼女作らないって決めてるから」



「今はどんな子に告られても考えられないな」



やっぱり………



尚更、翔汰には黙っていてもらわないと



結菜の傷付く顔は見たくない




「そういえば、翔汰に電話番号教えといたから」



「じゃあ、おやすみ」



そう言ってお兄ちゃんは部屋から出て行った

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