1378 突き刺さるお母さんの言葉

 崇秀のフォローもあり、なんとかお母さんにはバレずに済んだ2人。

そして静流お母さんは、そのまま仕事に向かって行く……っと思いきや、眞子に何か言いたい事があるようで。


***


「あっ、あぁ、はい。なに、お母さん?」

「眞子。崇秀は自分の息子の事だから、あんまり、こう言う事は言いたくないんだけどね。この子を信用してくれてるからって言っても、男の部屋に寝泊りするのは、あまり感心しないわね。ちょっと警戒心がなさ過ぎるんじゃない?」

「あぁ……はい、ごめんなさい」

「それと、もぉ1度だけ言って置くけどね、眞子。本当に『安易な気持ち』で『安易な事』だけはしちゃダメよ」

「あぁ……うん」

「もし、そうなった場合でも、必ずコンドームをするのよ。SEXなんて、結婚してからでも、決して遅くないんだからね。解った?」

「あぁ……はい、ごめんなさい」


こう言うやり取りをしてしまうと『Hしようとしてた』って言うのを、お母さんに明言してしまってるのと同じなんだけどね。

お母さんは、本当に私の事を心配してくれているのがわかったから、ついつい私も正直に答えてしまった。


これじゃあ、今までの苦労が水の泡だね。


しかも、このままじゃあ怒られるかなぁ?



「まぁ、これは、そうなった場合の話ね。私は、眞子を信じてるわよ」

「あぁ……はい」

「うんうん。じゃあ、お母さんは、今度こそ2人の邪魔をしない様、本当に仕事に行くからね。眞子は、ゆっくりと休んで行くんだよ」

「うん……お母さん、ありがとう。お仕事頑張ってね」

「はいはい。じゃあね」


『バタン』


そう言い残してお母さんは、扉の向こうに去って行った。

でも私は、お母さんの放った言葉に、なんとも言えない深い罪悪感に捕らえられていた。


そう思えてしまうのは、きっと私自身が、崇秀さんの事を好きに成り過ぎてしまって、SEXする事が、もぉ『安易』だとは考えられなくなってしまっているのだろう。


本能的に心も体も、崇秀さんを求めちゃってるしね。


でもこれ、どうしたら良いのかなぁ?


***


 ……そんな複雑な気持ちに成ってしまった私は、布団の中に再び潜り込み、顔が出せなくなっていた。



「んあ?どうしたよ、眞子?また布団なんかに包まっちまって」

「・・・・・・」

「あぁ、ひょっとしてオマエ、お袋の言葉が気に成ったのか?」

「……うん」

「『安易な気持ち』で『安易なSEX』だって言われたのがショックだったのか?」

「……うん」

「そっか。でもな、この双方の意見。別に、どちらかが一方的に間違ってるって訳でもねぇんだぞ。オマエの言い分も、お袋の言い分も、なにも間違ってねぇからな」

「……どうして?」


潜っている布団の中から、私が、そう質問すると。

崇秀さんは、ちょっとだけ出ている私の頭を優しく撫で始めた。


きっとこれは、私を落ち着かせようとしてくれてるんだね。



「良いか、眞子?お袋はな。今は後悔はしてないにせよ。自分の昔やった行為が安易だったからこそ、今、苦労してると思ってる部分がある。だからな。オマエに、そんな苦労をさせたくねぇと思って何度も注意してるだけなんだぞ」

「……うん。解ってるよ。そこは十分なほどに解ってるよ」

「まぁそうだろうな。でもな。仮にそうであったとしても、オマエの行動だって、別に間違ってる訳じゃねぇんだぞ」

「……そうなのかなぁ?私は、自分が抑制出来なくて、肉欲に溺れただけかも知れないよ」

「まぁ、一方的にみれば、そうなのかも知れないな。けどな。オマエの行為は、自分の気持ちに基づいてやった行為だ。所謂、本能的に『そうなる覚悟』も『そう成りたいと思う覚悟』も持ってくれていたからこそ、今回の行為に至ってくれてる訳だ。だから、安易に安易って決め付けられる訳でもねぇんだぞ」


なのかも知れないけど。

私には、お母さんみたいに子育てをする自信なんて、これっぽっちもない。

正直言えば、自分の事だけでも精一杯なのに、とてもとても、そこまでは考えられない。


だから、自分の行為が『安易じゃなかった』とは口が裂けても言い切れたものじゃない。


私自身、自分自身が制御出来てない事もわかってる訳だし。

私の『それ(本能)』は、ただの『肉欲』を求めていただけなのかも知れないし……



「うぅん。私は、崇秀さんの言う様な覚悟はないよ。子供なんて、まだ全然欲しくないもん」

「そっか。……でも、俺と一緒に居てくれる覚悟は有るんだろ?」

「うん。それだけは間違いなくあるね。一生、なにがあっても添い遂げたいと思ってるよ」

「だろ。だったら、そこに、もぉ一人家族が増えても、なにも問題はないんじゃないか?」

「えっ?」

「そうやって家族が増えて、本当の家族になって行くんじゃないのか?ただ単に、それが早いか、遅いかだけの問題だろ」


そう言ってくれるのは嬉しい。


……でも、それって。



「でも、崇秀さん。『出来ちゃった婚』だけは、なにがあっても絶対に嫌なんじゃ……」


崇秀さんがしてくれてる本当の家族に成っていく過程の話自体は、非常に理に適ってる話……っと言うより、一般的な家族の在り方だとは思うんだけど。

これを認めると言う事は、あれだけ崇秀さんが毛嫌いしていた『出来ちゃった婚(現在、授かり婚)』すらも承諾してる事に成る。


そんな事が有り得るのだろうか?


実際、お母さんの手前もあるから、此処だけは絶対に崇秀さんも認めない筈。

だから、この崇秀さんの意見には凄く違和感が残った。


どうして、そうなるの?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


この言い分からして、静流お母さんは間違いなく2人の行動には気付いてますね。


まぁ普通に考えても、気付かないなんて事はありませんしね。


何故なら、静流お母さん自身も若い頃、眞子と同じ心境に成った事もあるでしょうし。

なにより、それを行動に移して崇秀を産んでいるのですから、此処が解らない筈がない……っと言うより、人一倍理解してる筈ですからね。


ですが、それをモロに言っちゃえば、眞子がショックを受けるとも理解しているので。

今回は、やんわりと注意するだけに留まっています。

そして更に『きっとこれは、このまま放置したら危険だなぁ』って感じたが故に、以前の『絶対にダメ』から『もしそうなった場合は、ちゃんとコンドームをするのよ』に変化してるものだと思われます。


まぁ眞子は、そこに気付かずに、かなりのショックを受けてるみたいなのですが。

この辺は静流お母さん自身が、本当に眞子の事を自分の娘みたいに可愛がってるからこその注意の仕方なんでしょうね。


さてさて、そんな中。

崇秀の方にも心境の変化があったらしく。

あれほど嫌がっていた『出来ちゃった婚』すらも認める様な発言をしだしました。


一体、彼の中で、何があったのでしょうか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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