1362 予定がないって、どういう事?

 完全に崇秀に煽られて、トンデモナイ条件を突き付けられた倉津君。

そして、それに気付いた時には、もう既に時遅しで……(笑)


***


「はぁ……漸く気付いたみたいだね。君、大変な約束しちゃったんだよ」

「えっ?あれ?なんで?なんで、こんな事に?」

「熱く成り過ぎなのよ。こんな条件を最初から突きつけたら、君が拒否すると思ったから、仲居間さんは、最初に簡単な条件を提示して、君のプライドを煽ったのよ」

「なっ!!」

「だから、人が注意して上げようとしてたのにさぁ。それを無視した上に、1人で無駄に熱くなっちゃって、その結果が、この有様だよ。どうするつもりなのよ?折角、クラだけでも楽にクリアー出来る条件だったのに」


どうするの?……って、今更言われてもねぇ。


俺にもプライドってもんが有りますからねぇ。

どうあっても大切な彼女の前で、恥を掻くのだけは嫌だったんッスよ。


けど、そんな心境とは裏腹に、こうやって条件を受け入れちまった以上、後には引けない。


どうして解決したもんッスかね?


これは困りましたね。



「ナントカ、成リマスヨ(完全に棒読み)」

「はぁ……なんとかじゃ、なんとも成らないと思うけど。って言うか、何も解決策を考えてないでしょ」

「ぴゅ~~ぴゅぴゅ~ぴゅぴゅ~~♪」

「口笛を吹いて誤魔化さないの。しかも、なんにも誤魔化せてないし」

「……ですね」


俺……究極のお馬鹿ちゃん。


ってか、またマジでやっちまったよ。


なんて思っていたら、意外にも崇秀が……



「まぁまぁ、向井さん。倉津も中々男らしい選択をしたじゃないか。そうでなくちゃ、面白くないっしょ」

「まぁ、そうなんですけどね……」

「まぁけど、俺なら『高校入学』って最初の条件を飲んでたけどな」

「ですよね。彼女が理解してくれてると解っていれば、楽な条件で即座にOKしちゃいますよね。……はぁ、もぉ折角、簡単な条件で良かったなぁって思ってた所なのに」

「そりゃあ、ご愁傷様」


ってな感じで、崇秀が、一応フォローしてくれたみたいなんだがな。


あれ?無駄なプライドを持ってるのは、ヤッパリダメでしたか?

もしそうなら、人間、無駄に熱くならず、何事にも冷静に対応しなきゃいけませんな。


俺の事ですね。

はい、すみません。


なので、とある方が残した迷言を吐いて、この場は誤魔化します。



「まぁ、若さ故の過ち……坊やだからですな」

「そうだね」

「そうだな」


あれ?ツッコミは?

此処で確実に『シャア=アズナブルか!!』って激しいツッコミが来る筈のボケなのに、それは何所に行っちゃたんッスか!!


スルーッスか、スルー??


おかしいなぁ?

眞子なら、必ずツッコミを入れてくれるボケなのに……


誤魔化しすら失敗するとは、ショボボボボ……救いがねぇ。


***


 ……っとまぁ、そんな無謀な条件を突き付けた後。

崇秀のアホンダラァは何食わぬ顔をしながら、綺麗に、そして手早く『店内を全て掃除』をしてから、そのまま帰って行きやがった。


あの腐れ外道だけは、いつか憶えとけよ。


そんで俺と、奈緒さんはと言うと、流石に、営業時間が終わった店にいつまでも滞在する訳にも行かず。

厨房でランチの用意をしてる熊髭のオッサンに軽く挨拶だけして、店を去る事に相成った。


時間は5時40分。


さてさて、これから、どうしたもんかな?

……っと思ったので、早速、奈緒さんに問うてみる事にした。



「奈緒さん」

「うん?なに?」


あっ、なんか久しぶりだな、このやり取り。


俺が大好きな奈緒さんとの定番のやり取りだ。



「これから、どうします?……って言うか、今日の予定とかはどうなってるんッスか?」

「なにもないよ」


はて?おかしなことを言いますな。


予定がなにもないんですか?


・・・・・・


いやいやいやいや、普通に考えて、それはねぇだろう。

全米を騒然とさせる様なバンドのボーカルが凱旋帰国してるって言うのに、取材も1つもないなんて事が有り得る訳がない。


常識で考えても、スケジュールがビッシリ詰まってる筈。


なのに奈緒さんは、平然とした顔で「ない」と断言してる。


こりゃあ一体、どういうこった?



「へっ?なにもないんですか?」

「うん、ないよ」

「本当にないんですか?」

「うん、ないよ。だって最初から、凱旋ライブ後はクラとズッと一緒に居るつもりだったからね。だから、帰国中の予定は全部キャンセルしちゃってる訳。だから、なにもないよ」


なにを考えてるんッスか、あぁ~~たは?


どういう理由で『予定がない』なんて言ってるのかと思えば。

俺なんかと一緒にいる為だけに、マジでそんな無謀な真似をしちゃったんですか?


いやまぁ、そう思ってくれてる奈緒さんの気持ち自体は、俺としては非常に嬉しいんですが。

そんな自分の地位を脅かす様な、馬鹿な真似をしちゃダメじゃないッスか!!


ホント無茶な事をするなぁ。



「ブッ!!なんッスかそれ?そんな無茶な事しちゃダメじゃないッスか!!」

「なんでよぉ?なんでダメだのよぉ?」

「いや、なんでも、糞も。そんな真似したら、世間やマスコミの印象が悪く成っちゃうじゃないですか」

「あぁ……さっきから、なにを気にしてるのかと思えば、そんなツマンナイ事を気にしてたんだ」

「へっ?」

「だったらそんなの気にしない、気にしない。気にしなくて良いよ。寧ろ、そんなもんどうだって良いし」

「いやいやいやいや、全然良くないですよ。って言うか、そこは最低限、気にしましょうよ」

「ヤダ。そんなの疲れるだけだからヤダ」


もぉ、この人だけは……


あぁけど、早朝で行きかう人が少ないとは言え。

それでも、こんな話を道の往来でするのもなんだな。


だったら取り敢えずは、最低限、歩きながら話すとするか。


その方が良さそうだしな。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


アホちゃん……やっと自分の愚かさに気付きましたね。


気付けて良かったね♪


全然良くねぇわ!!( ゚Д゚) ('ω'*)しらん、自分の愚かさを悔いなさい(笑)


……っでまぁ、そんな感じの倉津君は、それを自分で解決して貰うとして。

またしても奈緒さんが、倉津君と一緒に居たいが為だけにトンデモナイ事をしでかしてるみたいなのですが。


こちらの方は、どうしたもんでしょうね?


ってな感じで、次回の話を書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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