1360 A級戦犯者に出された条件

 奈緒さんが提唱する『家族ごっこ』に無条件で乗ってくれた崇秀……っで終わる筈だったのだが。

倉津君が、つい余計な本音を口にしてしまい【条件付き】にしてしまった上に、更に……(笑)


***


「はぁ?なに言ってんだ、オマエは?眞子には、そんな条件がある訳ないだろうに」

「そっ、そうなのか?マジで眞子は無しなのか?」

「当たり前だろ。大体にしてアイツは、俺の彼女なんだぞ。そんな条件付けなんかしなくても、俺とアイツとの関係は永遠に変わんねぇよ」

「あぁまぁ、そう……だよな」


言われてみりゃ、そりゃあそうだわな。

眞子との関係は、崇秀自らが望んでる関係なんだから、眞子に『条件』なんか付ける必要なんか微塵もないわな。


アホ臭ッ。


何が『事は重大だ』だ。

今に成って、焦った事自体が恥ずかしくなってきたわ。



「さてさて、アホのチャチャが入ったから、無駄に時間を喰っちまったが……向井さん」

「なっ、なん……ですか?」

「さっきの話の条件なんだがな。【今の地位を死ぬまでキープする事】で良いよ。俺の身内は『常に対等』じゃなきゃ話にもなんないからな」

「マジで……最悪。こんな条件じゃ、ババァに成ってもバンド辞めれないし」


いや、まぁ、なんと言いますか。


ご愁傷様です。


あぁ、けどッスね。

考え様によっちゃあ、かなり良い条件を引き出せたじゃないッスかね。


バンドの地位を確立し続けるのは、なにも悪い事じゃないし、なにより向上心が高いまま生きていける。

これは、ある意味、悪い条件じゃないと思いますよ。


それにですな。

【常に対等】っと言う条項が付いてる以上ですな。

崇秀自身も、この地位を一生キープするつもりなんでしょうから、アイツも大変だと思いますしね。

(↑自分のせいなだけに、また必至な俺)


はい、すんません。

もうこれ以上、余計な事言いません。



「いやいや、そこは考え方だ」


ほらほら、ヤッパ、そうじゃないッスか!!

一応、俺は黙ってはいたものの。

僕の大親友の崇秀君が、意味もなく、そんな酷い条件を出す筈ないじゃないですか。


きっと彼にも考えがあっての意見ッスよ。


コイツ……生粋のツンデレ体質なんで。



「どう言う事ですか?」

「ほらほら、向井さんは、ライブでのトークなんかも上手いからさぁ。例えバンドを辞めたとしても、コメンテーターなんて職業に就く事も出来るだろうし、吉本興業もあるだろ。だから、今の地位をキープし続けるのは、そんなに難しい事じゃないって話」

「あぁ、確かに、バンドに拘らず、そうやって色々な職業を選択をするのは有りですね。……まぁ、なんか『吉本』とか、ドサクサ紛れに余計な事を言われた気もしますけど」

「そう言うこった」

「此処で『吉本』は流すんだ……」


うむうむ、確かに此処は崇秀の言う通りですな。


俺の奈緒さんなら、色々な事が出来る万能戦士だから、バンドだけに拘る必要性はなく。

今後は、色々な方面に向かって活動の範囲が広がっていくだろうからな。


そこは正解だったな。


いや寧ろ、正解と言うより。

この機会に『そうやって活動範囲を広げて行った方が良い』っと言う事を示唆してる意見に聞こえなくもない訳だから、これはもぉ100点満点の条件だと言っても過言じゃないのでしょうかね?


しかしまぁ、この短時間で、そこまで先を見据えての条件付けだったとは恐れ入ったよ。


オマエって、ホント頭が良いんだな。


妙に感心したわ。



「じゃあ次は、お待ちかねの倉津の番だな」

「はいはい。なんッスかね?俺は、なにをしたら良いんッスかね?」


……っで、マジで俺は、何をすりゃあ良いんッスかね?

奈緒さんが、この厳しい条件なら、俺にはもっと酷い条件が提示されるかもしれないからなぁ。


だから、もう一回確認の為に言って置くぞ。

絶対に『100%誰でも楽々クリア出来る様な簡単な条件』にしろ。


いいな……絶対に此処で、ややこしい事を言い出すんじゃねぇぞ!!



「そうだなぁ。オマエにはなぁ。どうっすかなぁ……」

「なんだよ?なんだよ?その無駄なまでに作った溜めはよぉ。そんな無駄に悩んでるフリなんぞせんで良いから、サッサと言えよな。どうせもう腹の内は決まってるんだろ」


焦らすな!!


……怖いから。


いやもぉ、ホントそう言うのは辞めろ。

なに言われるか解らないって言うのは、結構、胃に来るもんなんだぞ。


なんか地味に胃が痛くなってきやがった。



「そうだな~~~。じゃあオマエには、あまり無理を言っても仕方がなさそうだから……軽い奴にしとくか」


おっ、マジか!!

俺の意思が通じたのか、崇秀のアホンダラァが大人しく簡単な条件を出してくれそうな雰囲気だな。


このアホにも、そんな良心が残ってたんだな。


良かった、良かった。


・・・・・・


いやいやいやいや、ちょっと待て待て待て待て。

こうやって俺を『ε-(´∀`*)ホッ』っと一回安心させておいてトンデモナイ条件を繰り出してくるパターンが、過去にも数回あった様な気がしてきたぞ。


だったら、この甘言に容易く乗っちゃいけないんじゃねぇのか?


どん底に落とされるような気がしてならないし……


……っで、結局、その条件って、なんなん?



「『高校受験の合格』で良いわ。どうせ、今のオマエじゃ、その辺が関の山だろうしな」

「がぁ!!」


……酷い。

なにを条件にするのかと思ったら、それはあまりにも酷過ぎる条件だぞ、オマエ!!


いやまぁ確かにな、俺もさっき『簡単な奴』とは言ったがな!!

幾らなんでも、そりゃあねぇんじゃねぇの?


……っでまぁ、俺が、何を怒ってるのかと言えばだな。

【彼女である奈緒さんが、今の地位を一生涯キープで、俺が……高校入学】

この落差のある条件提示は、完全に俺だけ見縊られてる証拠じゃねぇかよ!!


こんな真似を彼女の目の前でされたら、彼氏だったら誰も怒るわ!!


ふざけんのも大概にしろよ!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


ご要望通り、簡単な条件を出して貰った筈なのに、怒り始める倉津君(笑)


まぁ、心境としては解らなくもないのですが。

自ら望んだ事ですし、此処は変に怒らずに対応した方が良いと追うものですが……


さてさて、そんな中。

倉津君は冷静になって、この条件を飲むのか?


それとも、無駄に反抗してしまうのか?


次回は、その辺を書いていこうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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