1358 コイツだけは、マジか……

 眞子の話が出た序に、例の家族ごっこの話を崇秀にしようとする奈緒さん。

だが、少々気焦りしたのか、あまり上手く説明出来ないでいたら……


***


「ふむ。……それって、察するに、家族として向井さんに興味が有るかって事か?」


うわっ!!嘘だろ!!

あの奈緒さんのしどろもどろした説明だけで、第一段階を速攻理解しやがった!!


ちょっとぐらいなら難しそうな顔をすると思っていたんだが、流石の俺も、これには驚いたわ。



「あぁ、そうです、そうです。そんな感じです」

「ふむ」

「それで……あの、そこにクラも加えて欲しいんですけど」

「倉津を加える?……あぁ、なるほど、そう言う事な」

「へっ?」

「他人による家族構成……向井さんは俺と『家族ゴッコ』がしたい訳か。そりゃあまた面白い事を考えたもんだな」


コイツだけは、マジでか?

たった、これだけの説明で、第一段階処か、最終段階まで行き着きたがった。


なんなの、その推理力?



「ちょオマ!!今ので全部解っちまったのか?」

「あぁ、要約して言えば『未来の話』がしたいんだろ。それぐらいなら、直ぐに解るわな」

「あれだけでか?」

「あぁ、十分な情報量だな」


うえぇ~~~!!

マジでコイツ、理解してやがるよ!!


いやまぁ崇秀の事だから、ある程度、こうなるのは予想出来てはいたんだが……なんなの、コイツは?



「マジでか?」

「マジでだ」

「あぁっそぉ。じゃあ因みにだが、崇秀よぉ」

「んだよ?」

「何所を、どう連結させて、そんな回答に行き着いたんだよ?」

「そんなもん簡単じゃねぇか」

「どこがぁ?」

「アホ。よく考えて見ろつぅの。向井さんのライブの成功を祝って始めた祝賀会の筈なのに、さっきの祝賀会は、成功を祝う処か、眞子の話で盛り上がっただけだったろ。そこが、この話を連結させる最大のヒントに成るんじゃないのか?」


まぁなぁ。

言いたい事は解らなくもねぇけどよぉ。

そんな所だけがヒントになって、この正確無比な推理に行き着くって言うのか?


それはあまりにも無理がねぇか?



「うん?」

「その分じゃ、なにも連結出来なかったみたいだな」

「まぁなぁ。全くって訳じゃねぇんだけどな」

「じゃあな。その後、帰ろうとした俺をワザワザ引き止めた向井さんの気持ちを加えろ。この時点で、眞子絡みで、なにか話が有るものと推測するのは可能なんじゃねぇか?」

「まぁなぁ。そこはそうだわなぁ」

「だろ。だったら、もぉ後は簡単じゃねぇか。恐らくは、眞子の話で盛り上がった所で、序に、この話をしたくなった向井さんには都合が良く。この話を、俺に持って行き易かった。そこが、この時点で、明白に成る訳だからな」


だな。


まぁ此処は、俺自身も、最初から繋がってた所だから大した問題じゃない。

だから連結自身は、このまま済し崩しに行っても、おかしくはないかぁ。


けどそれは、俺が奈緒さんの話を聞いてたから解る事であって、普通は4人の話が解らなきゃ連結出来無いと思うんだがな。


それを、なんでコイツは解ったんだろうな?



「かもな」

「だろ。そんで更に、向井さんが、俺に言い放った言葉が『家族への興味』『オマエと向井さん』。そして最後に、さっきキーワードになった『眞子』付け加える。もぉこれだけ情報が揃えば『未来の家族ゴッコがしたい』って回答に行き着くのはそう難しくはない。寧ろ、容易なんじゃねぇか?」


ヤッパリ、済し崩し方向だったな。


……っとなると、あれだな。

奈緒さんが崇秀に声を掛けた時点から、コイツは自身への単体の願いではなく。

『眞子の話』事態も、コイツの中では折込済みだったからこそ、この正確な回答に行きついたって訳かぁ。


妙に納得。


まぁ、そんな訳で、そこは理解出来たんだけどなぁ。

なんか俺としては、まだ説明が物足りない様な気がしてならない。


コイツ、まだなんか隠してないか?



「あぁ、序に言えば。オマエと向井さん。そんで俺と眞子が結婚すりゃあ、自ずとお互いが身内に成る。そうなりゃあ『本当の家族になる』って前提も有りきな話だけどな」


そうか、此処か!!

俺が引っ掛かってた所は此処なのかもしれないな。


いやまぁ、そうは言ってもだ。

これについては、俺も奈緒さんから説明されていたから、ちゃんと理解はしていたんだが、どうにも完全に抜けてたみたいだ。


ってか。

此処の事実さえ自分で把握さえしていれば、全ての事象を繋げる事が可能には成るわな。


この根本の部分こそが肝になっていたが、連結の説明をして貰ってたから、俺の頭が混乱してただけだったのか。


なるほどねぇ。

そうやって聞けば、確かに連結させるのは難しくないな。



けど普通は、そこまで解っていても、うまく繋がらねぇじゃねぇかな?



「全部、丸々正解ですね。……それにしても、凄い推理力ですね」

「なぁ~~に、こんなもん程度なら、小学生にでも解る様な簡単な推理だ。感心するには程遠い話だな」

「そうですかねぇ?私は、普通、そこまで行き着かないと思いますけど」


いやいや、なにを基準に置くかで、結構、話だけは見えてくるもんッスよ。


どうやら、そこの見極めが一番大事みたいですからね。


まぁ勿論、こんなものは理論上でだけの話ですけどね。



「ふむ、なんかまだ腑に落ちない感じだな。じゃあな。こう言うのはどうだ?」


やっぱ、まだなんか裏付けするものがあるんか?


それは俺や奈緒さんを、これ以上に納得させられるものなのか?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


どうやら崇秀は、奈緒さんの要望を丸々理解しているようですが。

当の本人である奈緒さんや倉津君が、逆に、崇秀の頭の中があまり理解出来ていない様子。


まぁコヤツは、根本的にイカレテますから、それを理解するのは中々難易度が高いんですけどね(笑)


さてさて、そんな中。

崇秀がなにやら、更なる説明をするみたいなのですが。


一体、彼は、これ以上なにを話すつもりなのでしょうか?


次回は、その辺を書いていこうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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