1353 崇秀が居るのに眞子が居ない?

 崇秀が熊髭さんの店に現れた理由は、来週からイギリスに留学をする奈津樹さんに餞別を渡す為だった。

それを知った倉津君は、自身が奈津樹さんの留学の事すら知らなかった事に凹むと同時に、崇秀との格の違いを見せつけられる。


しかも、そこに……


***


「あれ?仲居間さん?仲居間さんじゃないですか?」

「おぅ、なんだ、誰かと思ったら向井さんじゃん。なにやってんだ、こんな時間に?」


トイレから帰って来た奈緒さんが、帰り間際の崇秀が鉢合わせした。


しかしまぁ、人が、男としての格の差を見せつけられて嫌な気分に成ってる所を、上手く鉢合わせしてくれたもんだよ。


……ただまぁそうは言ってもな。

正直言っちまえば、俺の事だから、そろそろ、こう言う悪い展開に成るんじゃないかなぁとは思ってたんだよな。


きっと崇秀を此処に留めた神様ってのは、俺が今までが幸せだった分、俺に不幸のダメ押しでもかましたかったんだろうな。


こんな嫌がらせを用意してるとは……相も変らず性格が悪いのぉ。


GODって奴はよぉ。



「えっ?あぁ、まぁ、クラと2人で、ライブの打ち上げですね」

「あぁ、そうなんだ。そりゃあ、お疲れさん。……ってか、ライブお疲れさんの方を、先に言うべきか」

「ですね。所で仲居間さんは、何用で?」

「あぁ、俺か?俺は、ちょっとした野暮用があってね。……でも、その用事み済んだから、今から帰る所だ」

「そうなんですか?あの……そう言えば、眞子の姿が見えませんが。今日は、眞子は一緒じゃないんですか?」


言われてみれば、そうですなぁ。

いつも崇秀にべったりな眞子の姿が、何所にも見あたりませんでしたな。


まぁ、察するに、奈津ネェ絡みの話で、崇秀は此処に来てる訳だから……アイツは置いてきたんだろうな。


アイツ……変に嫉妬深いしな。



「眞子?あぁ、アイツなら寝てるよ」

「そうなんだ」

「あぁ、ライブから帰って来て直ぐに風呂に入った後、俺の部屋に遊びに来たと思ったら、気付けば『くぅくぅ』寝息を立てながら、そのまま気持ち良さそうにコタツで寝てやがったからな」

「じゃあ、そのまま、コタツで寝かせてるんですか?」

「まさかな。ちゃんと俺のベットに寝かせてきたよ」


なぬ!!

なにをしとるんじゃ、あのポンコツ娘は!!

嫁入り前の娘が、なんと言う、ふしだら極まりない真似をしとるんじゃ。


こんな頭の狂った男の部屋なんかで、無防備に寝ちゃいけませんつぅのな!!


ホント、なに考えとんじゃアイツは!!



「そうなんですか。だから、眞子は一緒じゃないんですね」

「そう言うこった。まぁ、ありゃあな。多分、慣れないダンスや唄で、相当疲れちまってるんじゃねぇか。そんな奴を、流石に起こすのも可哀想でな」

「ダンスに唄で疲れてる?……って!!まさか、あの子!!」

「そぉ。今日の3B-GUILDのライブにゲスト出演。ライブの殆どを、唄って、踊ってたからな。そりゃあ、疲れもするだろうに」


うわぁ……崇秀の部屋で寝てる理由はわかったが。

その理由から察するに、アイツは唄って、踊ったりする才能すら持ち合わせているのかよ?


才能の底が知れねぇな。

同じ細胞で構成されてやがる筈なのに、何所まで才能を持って生まれてやがるんだ?


マジで有り得ねぇな。



「ハァ……呆れた。また別の才能も開花させたんですね」

「まぁまぁ。アイツは元から物覚えが良いし、身体能力も高いからな。それぐらい出来ても当然だ。別に大したこっちゃ無いと思うぞ」

「ハァ……彼氏が彼氏なら。彼女も彼女ですね。もう殆ど病気ですね」

「そうか。眞子は病気なんだな。お可哀想に」

「いや、あの……仲居間さんもそこに含まれてるんですけど」

「うん。そりゃあまた言ってる意味が解らない事を言うなぁ」

「どうしてですか?」

「なにを思っての発言かは知らないが、俺はアイツ程の才能を持っちゃ居ねぇよ」

「うん。意味が解らないって言いたいのはコッチのセリフですよ。2人して、一体どうなっちゃってるんですか?」


全くですな。

これ程までに、個体の性能差をモロに見せ付けられたんじゃ堪ったもんじゃないッスな。


言うなれば俺と崇秀とじゃあ、性能的には旧ザクと、F-91ぐらいの差が有りますからな。

勿論、俺は旧ザクなので、まさに『ザクとは違うんだよザクとは!!』って言われてる気分ですな。


やめろ!!



「どうもしちゃいねぇよ。俺と眞子は、自分のやれる事を懸命にやってるだけの話だからな」

「……そう言う事を言いますか」

「なんでだよ?向井さんだって、倉津の馬鹿の為に頑張ってるじゃん。実績が伴ってるんだから同じじゃねぇか」


倉津 『少佐!!このままじゃ機体が持ちません』

赤い人『倉津君。君は、よくやってくれた。君の成果は、上に伝えておく』

倉津 『そんな……少佐!!助けて下さい……うわぁあぁぁぁ~~~』


……ってな風に、大気圏でザクと共にチュボ~~~ンって1人で燃え尽きそうだから、それ以上は言わんとって……


オィちゃんだけ1人をとり残して。

みんなで才能の彼方に行くのだけは、マジで辞めてくれぇ~~~~!!



「まぁ、そうですけど。2人は、ちょっと異常じゃないですか」

「じゃあ、向井さんも異常だって事で終わり。大体な、機会を与えた程度の事で、普通ならたった1年んで、そこまで伸びないっての」

「うぅ、そうかも知れませんけど……これでも、かなり努力してるんですよ」

「なら、俺達も必至に足掻いてる。才能なんてもんはな。努力しないと開花しないものだからな」


理屈的に言えばそうかも知れんが。

それって逆に言えば、努力しても、才能がなきゃ開花しないって意味にも取れるよな。


まさに『99%の努力と、1%のひらめき』


エジソンかテメェは!!


努力しても1%の閃きに勝てないって立証された気がした。

(↑3人より努力すら足りてない俺だけどな)



「……なんか、上手く言い包められてる感じで、納得出来無いなぁ」

「じゃあ、納得しなきゃ良いじゃん。向井さんがなんと言おうとも、世間の評価が、そうなんだからな」

「むむ……」

「まぁまぁ、いつもでも、こんなクダラナイ事で立ち話をしててもなんだ。向井さんも、倉津の馬鹿の所に戻らなきゃイケナイんだから。……俺も、そろそろ帰るわ」

「ちょ!!待って下さいよ!!立ち話が問題なら、一緒にクラの待ってる席に行って、もぉ少しだけ一緒に飲みませんか?」


ははっ……途中で、心のチャチャを入れてながら、身を潜めていましたが、結局、奈緒さんが引き止めちゃったよ。


まぁ、こうなる運命だとは、ある程度予想はしていたけどな。


こりゃあ、最悪な方向で予想の範疇だな。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


旧ザク(倉津君)が大気圏(性能差)に突入して見事に爆発してましたね(笑)


さようなら(*'ω'*)੭ु⁾⁾


……っとまぁ、そんな倉津君はさておき。

いつも崇秀にベッタリな眞子が、此処に来てない理由は、どうやらライブ後『あのまま疲れて寝てしまったみたい』ですね。

そして、そんな眞子を、流石に崇秀も起こさなかった、って感じでした。


まぁですから、特に意味はなかった感じでもあります(笑)


さてさて、そんな中。

眞子の話序に、なにやら奈緒さんが崇秀を引き留めてる様なのですが。


一体、どうしたんでしょうね?


次回は、その辺の話を書いていこうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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