1351 崇秀と奈津樹さんの逢瀬?

 前回、何故か不幸が少なかった事に不安を感じる倉津君。

そこに……見知った赤い髪の男が厨房から顔を出し、更になにか嫌な予感がする倉津君であった(笑)


***


 そんな風に警戒してたもんだから、即座に俺は、このロクデナシ男の存在には気付いたんだが。

今現在は、あまり奴とは関わりたく無い心境だったので、取り敢えずスルー(見て見ぬふり)を敢行する事にした。


なんと言っても、さっき奈緒さんに、崇秀についてのこっぱずかしい話をしちまったから、奴とはなんとも顔を合わせ難いんだよな。

そんな理由から、奴の出方を、一人、身を潜めながら、この場では何事もなく、このロクデモナイ嵐が去るのを願った。


悪霊(魔王)退散!!


……すると奴は店の中に入って来るなり、俺の丁度、後ろ辺りにあるカウンターの席に座り。


なにやら、注文を取りに来た奈津ネェと話をし始めた。


どうやら、俺の存在には気付かれなかったようだな。



「ふぁ~~~……ヤベェ、ちょっと眠ぃ~~~~~」

「崇秀。イキナリ厨房から店に入って来て欠伸とか辞めてくんない。ってか、そんなに眠いんなら、とっとと家に帰って寝てれば良いじゃない」

「まぁ、そうだな。確かに、そりゃあ正論だ。けどな。まだ、そうやって易々とは寝る訳にはイカネェんだよなぁ」

「うん?こんな時間に寝る訳には行かないって、なによ?……まさかアンタ、またなんか新しい事業でも始めたの?」

「いやいや、新しい事は大して何もやっちゃいないが。さっきな『ちょっとサボっちまった』から、明日、明後日と休みをとって、やらなきゃ成らない事が山積みに成ってるだけの話だ」

「ふぅ……そうなんだ。って言うか、相も変わらず、忙しそうで良いじゃない。そうやって暇してないって事は、仕事するものにとっちゃあ幸福な事だよ」

「まぁな。そりゃあ言えた。確かにそうだわな」


この馬鹿、また懲りずに徹夜で仕事してやがったんだな。

その上で、仕事の休みを取ってまで、仕事をしようとしてるなんて恐れ入るよ。


完全なワーカーホリックだな。


それによぉ。

この眠そうな様子じゃ、確実に3・4日は寝てねぇ感じだな。

いや……コイツが、人前で欠伸をするって事は、下手したら1週間近くは殆ど寝てない状態が続いてるのかも知れない。


ホント、相変わらずの仕事馬鹿っぷりは健在の様だな。


しかしまぁ、なにがコイツを、そこまで突き動かすのかねぇ?



「……っで、そんな風にお疲れの所で悪いんだけど。注文は、なにする?ラストオーダーが過ぎてるから、早目に言ってくれない」

「そうだなぁ。じゃあ、取り敢えずは、奈津ネェの0円スマイル1つで」

「うん……殴られたくなかったら、即座に帰れ。私の笑顔は、そんなに安くないから」

「冗談、冗談。ジンをロックで一杯くれ。ライムも、チェイサーもイラネェから」


カッケェな、オイ。

小粋な(?)ジョークを交えながら、注文品がジンのロックかよ。


ガキの小便同様の生ビールをガブガブ飲んでる俺とは大違いだな。

しかも、その生ビールにしても、半ば奈津ネェに強制的に注文されたモノだから、どうしようもねぇな。


なに、この差?



「はいはい、わざわざそんな馬鹿は言わなくて良いから。取り敢えず、正式なご注文承りましたんで、ちょっと待ってて」

「はいよ。ラストオーダーが終わって、片付けしてる所なのに悪ぃな」

「まぁまぁ、今回は勘弁してあげるわよ。飲み物を入れるぐらいなら手間は掛からないしさ」

「そっか」


そう言った後、奈津ネェはドリンクを入れに行き。

崇秀の野郎は、そのままカウンターでタバコを吹かし始めやがるんだが。


コイツって……本当に、さり気ない仕草1つでも、絵に成る男だよな。


ただ単にカウンターに座って、タバコを吹かしてるだけなのによぉ。

その吐き出された紫煙が店内のライトに当たり、店内の薄暗さに相まって、まるで計算し尽くされた一枚の写真の様に、格好が付いてやがる。


とても中学生とは思えない風格だな。

それこそ、これを写真に撮って売り出すだけで金になるんじゃねぇのか?


そうやって俺が、崇秀の背後から密かに奴を観察している内に、奈津ネェが、ジンの入ったロックグラスを持って帰って来る。


やけに早かったな。



「はい、お待たせ」


言葉を発すると同時に『コトッ』グラスをカウンターに置き、崇秀の横に奈津ネェは座るんだが。


あれ?……奈津ネェ片付けは?

今、店の片付けをしてる途中じゃなかったっけ?

崇秀の横に座るって事は、もう片付けはしなくていいのか?



「おっ、サンキュウ」

「……っで、崇秀」

「んあ?なんだよ?」

「私になにか用事?こんな時間にワザワザ店に来るって事は、なにか用事があるんじゃないの?」

「ほぉ、流石に奈津ネェは察しが良いねぇ」

「まぁね。長い付き合いだからね。……っで、なに用よ?」


まるで用事がある事を、解っていた様な言い草だ。


しかし、崇秀の奴が、こんな時間に、奈津ネェに、なんの用があるんだろうな?


・・・・・・


( ゚д゚)ハッ!

いやいや待て待て……って!!まさかオマエ!!

眞子に内緒で、2人は、密かに付き合ってるとか恐ろしい事を言い出すんじゃねぇだろうな?


いやまぁ、確かに、崇秀と奈津ネェが付き合ってたら、そりゃあまぁ、世間じゃお似合いのカップルなのかもしれないけどだな。


仮にそうだったとしても、オマエには眞子って彼女が居るんだから、そう言うのヤメテくれよな。


この場で、こんな逢瀬を知る事に成るなんて、マジで洒落にもなんねぇぞ!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


おぉっと、これはまたヤバいシーンに出くわしてみたいですね!!

嫌な予感がする中、不意に崇秀が現れたと思ったら、なにやら奈津樹さんと妙な関係である事が発覚してしまった様子!!


これはマジでヤバいか!!


……っとは言っても。

これは所詮、倉津君の視点で見た感想でしかないので、それが正しいとは限りませんがね(笑)


さてさて、そんな倉津君的には嫌なシーンに出くわした中。

次回は、その真相を明らかにしていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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