1349 話の伏線と、倉津君の本音

 愛情診断・眞子の話・眞子の疑似体験による倉津君の心境、等々と、一見なんの関係もない様な奇妙な話を続ける奈緒さん。

本当に、その真意は、一体、なんなのか?


***


「まぁまぁ、そんな冗談は、さて置いて」


クスリとも笑えない様な性質の悪い冗談でしたけどね。



「……ねぇ、クラ。さっきの『眞子の疑似体験』の気持ちを踏まえて、4人で一生仲良くして行きたいなぁって思わない?」


あぁ……そう言う事ッスか。

おかしな事を聞くと思ったら、最終的には、そこに繋がる訳ッスな。


今の奈緒さんの話で、漸く、本当に奈緒さんの意図が見えたぞ。


奈緒さんは、俺や、眞子や、崇秀と、絶対的な関係を結びたいからこそ。

さっきみたいに、眞子の疑似体験の話まで持ち出してまで、崇秀の良い印象を植え付け様としたんだな。


なにを考えてるのかと思えば、そんな事を考えてたんッスね。


でも、ちょっと意地悪をされたから、軽く復讐ッスな。



「いや、奈緒さん。奈緒さんが余りにも生々しい話をするから、なんか今、微妙な心境ッスよ」

「あぁ、ごめん。だったら、さっきの、お尻の話は無しね」

「都合良いッスね」

「まぁ、そうだけどさぁ。私、本当に4人で仲良くしていきたいんだよね」


ふむ。

軽い復讐をされてるのに、奈緒さんがブレずに、そこまで言うなら。


まぁ……OKッスな。



「そうなんッスか。じゃあ、奈緒さんと、眞子は、まずOKって事にして置いてですね。やっぱり崇秀は保留の方向で」

「もぉ、意地悪だなぁ。素直に、仲居間さんも入れて上げてよ」

「うわっ……なんか、そう言われると、余計に入れたくなくなって来ましたよ」


奈緒さんがアイツの肩持つと、激しく嫉妬ですな。

奈緒さんは俺の世界一大切な人だから、他の男を簡単にフォローしちゃダメっすよ。


じゃないと俺は、嫉妬の固まりに成りますよ。



「もぉ……眞子の疑似体験中に、コソッと仲居間さんに抱かれ様としたクセに」

「グッ!!言うに事欠いて、なんちゅう事を言うんッスか」

「……って言うかさぁ、クラ。クラの仲居間さんに対する本音を教えてよ。本当は、どう思ってるの?私の願いって、クラにとっては、そんなにダメなモノなの?」

「それ、ドッチの意味で聞いてるんッスか?」

「あぁ、勿論、長い付き合いでの話の方。だから、さっきの眞子の疑似体験の話は謝る。ごめんね」


どうやら、本気で4人での関係を構築したいらしいな。


なら、ちょっとだけ崇秀についての話を、正直に話してみるか。



「あぁ、まぁ冗談だってのは解ってるんで、謝んなくて良いッスけど。俺のアイツに対する本音なんて本当にツマンネェもんッスよ」

「うん。そうなのかも知れないけど。クラの口から正直に聞かせて欲しい」

「そうッスか。けど、笑うのだけは無しッスよ」

「勿論だよ」


なら……良いか。


俺が、この世で一番信用する奈緒さんの要望だしな。

なので、この件に関しては、正直に話しても別段問題はないだろう。



「じゃあ、奈緒さんだから、正直に言いますけどね。俺……【アイツには、滅茶苦茶感謝してる】んッスよ」

「えっ?そうなの?」

「そうッスよ。アイツが、小学生の時から、俺と付き合ってくれてなきゃ、俺はヤクザの息子だって事を今以上に1人で嘆いて悲観して、もっと最低最悪な人間に成ってたと思うし。アイツが居なきゃ、きっと色々面白い事も解らなかった。それにアイツが居たからこそ、奈緒さんや、他のみんなとも知り合えた」

「うっ、うん」

「……俺はね、奈緒さん。【アイツに人生を救われた人間】なんッスよ。だから、アイツには感謝しても、感謝し切れないぐらい、感謝してるんッスよ」


まぁ、これが、俺の隠す事のないアイツに対する本音だ。


アイツは、いつも掛け値無しに俺との友人関係を大切にしてくれたし、俺が困った時は、なにを置いても駆けつけてくれた。

だから俺にとって、アイツ程、信用が置ける人間なんて言うのは、この世には存在しない。

もっと正直に言っちまえば、最愛の人である奈緒さんよりもアイツの事を信用してるのかも知れない程のレベルだ。


本当にアイツは、俺みたいな屑なんかには勿体無い、最高の親友。


アイツ以上に良い奴なんて、この世には存在しないッスからね。



「ごっ、ごめん、クラ。なんか私の我儘のせいで、男として隠して置きたかった事を言わしちゃったね。ホントにゴメン」

「いや、良いんッスよ。奈緒さんには知って置いて貰っても問題ないッスし。寧ろ、知って置いて貰いたかったからこそ、正直に喋ったのかも知れないッスからね」


流石にちょっとハズイんだけどな。


まぁ、それはそれと言う事で。



「……クラ、本当にゴメンね」

「あぁ、そんな暗い顔しないで良いんッスよ。それにッスね。実際の話で言えば、奈緒さんが『4人で仲良くしよう』って言ってくれた時、本当はスゲェ嬉かったんッスよ」

「ホント?」

「ホントッスよ。だから、奈緒さんの夢は、俺がキッチリ叶えて上げます。だからもぉ、そんな暗い顔しない下さい。俺の大好きな奈緒さんの可愛い顔が台無しッスよ」

「クラ……ありがとう。そんな君が一番好きだよ♪」


おぉ……なんか良い雰囲気ですな。

それに今の奈緒さん、いつも以上に輝いてメッチャ可愛いッスね。


なら、頑張って、俺が奈緒さんの夢を構築して上げなきゃな。


この笑顔には、それだけの価値が有るからな。


***


 ……なんて。

俺なのに、そんな甘い幸せが長く続く訳がない。

この調子だと、次回、また俺の身に、なにかロクデモナイ事が起こるのは、きっと必然なんだろうな。


けど……今回は奈緒さんとの安寧な時間を送れたし、比較的幸せな感じだったので、まずは良しとするべきだな。


こう言う回が有っても、おかしくはないよな。


そうだ、そうだ、そうに違いない٩( ''ω'' )و

(↑幸せに成ると、不安を感じる情けない俺)



おっ……終わり。


***


次回予告。


なぁ~~んかな。

非常に嫌な予感がするんだよな。


だってよぉ。

奈緒グリの反省会に付き合ったり。

トッチャン坊やからライブレポートを送られてくる事に成ったり。

奈緒さんに、眞子の疑似体験の事をからかわれたりはしたけどだな。


実際は、これと言った大きな実害が出なかったのは、俺にとって大きな不安要素にしか成らないからな。

それにあまつさえ、最後は奈緒さんと良い雰囲気まま話が終われるなんて、こりゃあ天変地異の前触れなんじゃねぇの?


……ってな訳で、次回。


『After live after』

「ライブの後の後」


……を、お送りする訳なんだが。


俺……次回に死ぬとか、そう言う事じゃないよな?


そこ、大丈夫だよな?

どこにも死亡フラグなんかは……なかったよな?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>

これにて第一章・第八十一話【After live(ライブの後)】はお終いになるのですが、如何でしたでしょうか?


まぁ結局の所、奈緒さんが何を話したかったかと言えば。

『例の家族ごっこ』の話を、上手く取り纏めたいが為に、倉津君にこんな話をしてた訳ですね。


もっと解り易く言えば『全てがこの願いを叶える為の【伏線】だった』って事でございますな。


そして、それに対する倉津君の正直な感想は【嬉しかった】

自分や眞子は勿論の事、崇秀との付き合いまでもキッチリ考慮していてくれていた奈緒さんには、感謝の念が尽きないと言った所でしょうか♪


まぁまぁ、そんな感じで、今回の話は上手く纏まったのですが……それで綺麗に終わらないのが倉津君。

次回から始まる第一章・第八十二話【After live after(ライブの後の後)】では、また良からぬハプニングが起こるかもしれませんよ(笑)


ってな感じで、次話も書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来てくださいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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