1343 注文はお気のままに(笑)
奈緒さんの正体がバレる事を懸念していた倉津君だったが。
その真実を聞いても奈津樹さんは、特に気にする事もなく。
順番飛ばしをする為に、裏口から入るように指示を出して店に案内してくれるのだが……
***
……っでまぁ、そんな風に2人で腕を組んだまま。
奈津ネェの指示通り、勝手知ったるなんとやらで、店の裏口を使って厨房に潜入する。
……すると、そこでは当然。
鬱陶しい熊髭親父が厨房の中に居て、嬉しそうに料理を作ってやがるんだがな。
このオッサン、俺を見付けた瞬間、久しぶりに逢うって言うのに、なにやらゴチャゴチャとイキナリからかってきやがったんだよ。
何が『おっ、真琴、女連れとは憎いねぇ』だ!!
ホント、相変わらず、面倒臭いオッサンだな。
だが此処で、ほかの客の注文を取ってきた奈津ネェが厨房に顔を出し。
オーダーを伝えながらも『くっちゃべってないで、早く作ってくんない』っと言う、たった一言で、髭の生えた熊はアッサリ撃退される事になった。
どうやらこの様子から見て、此処でも奈津ネェの傍若無人ップリは認知されている様だ。
***
……さてさて。
そんな鬱陶しい熊髭の住み着いてる厨房はサッサと通り過ぎて、今度こそ店内に入って行く訳なんだが……
相も変わらず、この店内のセンスがピカイチだな。
とてもあの薄汚い熊親父が選んだとは思えない様な調度品の数々が整理整頓された上で、奇麗にコーディネートされいるんだよなぁ。
まったく、あの無粋極まりない顔の何所に、こんな繊細なセンスが隠れてるのか不思議でならねぇ?
意味がわかんねぇよ。
世界七不思議の1つに数えられてもおかしくないレベルだぞ。
……等と、恒例の訳の解らない心の文句を垂れながら。
奈津ネェに案内されて、店の一番奥にある誰にも目立たない席に着くんだが。
流石は奈津ネェ。
奈緒さんの件を考慮して、良い配慮をしてくれる。
「さて、席にも案内した事だし。向井さん、なに飲む?」
「あぁ、そうだねぇ。いきなりキツイのを行くのもなんだから、取り敢えずは、まずは軽くコロナで」
「ライムを入れて置いて良い?」
「勿論、有り有りで」
「OK。えぇっと真琴は……あぁもぉ、聞くのも面倒臭いから『生』で良いか」
いや、あのよぉ、奈津ネェ。
一応でも良いから、確認の為に、飲み物の注文だけは最低限度でも良いから聞いてくれねぇかな?
ドリンクとは言え。
ひょっとしたら、俺だって違う注文をするかも知れないしよ。
「それで良い?真琴は生で良いよね?」
「そうッスな」
「後、此処のメニューなんだけど。なにかゴチャゴチャややこしい料理名が書いてあって、選ぶのが面倒臭いと思うから、適当にアテを見繕ってくるね。……真琴、それで良い?文句無いよね?」
「そうッスな」
「そっ。じゃあ、ごゆっくり」
「そうッスな」
ドリンクの文句を言う前に、料理まで全部決められてしまった……
まぁ、こうなっちまったら仕方がねぇ。
『YES・MEN』な俺は、奈津ネェに全てお任せする事にしますぜ。
奈津ネェのお気のままに、煮るなり焼くなり好きな様にしてくだせぇ。
但し……そうやって文句も、反論しやせんから、奈緒さんの為にも、何卒、美味しいもんだけは持ってきてくだせぇ。
それだけで十分でやす。
(↑結局はヘボな俺)
***
それから少しして。
奈津ネェが、奈緒さんの注文した『コロナ(ビール)有り有り』と、俺が強制された『生ビール』と『茶豆(枝豆)』を、まずは持って来てくれる。
けど、その後は、こんな深夜帯なのにも拘らず忙しいのか、直ぐに、急ぎ足で席を離れて行った。
しかしまぁ、よく働く人だな。
……けど、此処で1つだけ疑問に思ったんだがな。
確か奈津ネェって、俺の一歳上なだけだから、まだ16歳で未成年の筈なんだけどなぁ。
未成年が、こんな時間まで働いてて良いのか?
いやまぁ、奈津ネェだから、きっと良いんだろうな。
国が認めてなくても、あの人が『大丈夫、問題ない』って言えば、大丈夫で問題ないんだろうしな。
だから此処は深く考えないで置こう。
こう言うのって、きっと『触らぬ神に祟り無し』って言うんだろうしな。
……なんて事を考えていたら。
「なに神妙な顔してるのよ?」
奈緒さんに気取られてしまった。
っとは言え。
別に悪い事をしてる訳でもないんで、此処はサラッと流してしまおう。
「あぁいや、別に」
「そっ。じゃあクラ、乾杯しよ乾杯」
「そうッスね。ほんじゃまぁ、ライブ、お疲れ様~~~~ッス!!」
「はい。お疲れ~~~~♪」
『コ~~~~ン!!』
……っと、コロナの瓶とグラスの当たる良い音を立てて、まずは乾杯してだな。
俺は、喉越し良い生ビールを、一気に『ゴクゴク』と音を立てて飲み干す。
う~~~ん、五臓六腑に染み渡るねぇ。
「かぁ~~~~!!うめぇ~~~!!ヤッパ、ライブの後は、これに限りますね」
「あらら。一気にいっちゃったんだ」
「あぁ、いや、すんません。実は、滅茶苦茶喉が乾いてたんッスよ」
「ふふっ、まぁ、ライブの後に、あれだけ熱弁してたら、そりゃあ喉も渇くだろうね」
それって、反省会の話ッスな。
でも、今は、そんなツマンネェ話をする気分じゃないんで、此処も流しますよ。
まずにして、トッチャン坊やのレポートの件なんかも思い出したくないし。
なにより、奈緒さんとの楽しくも有意義な時間を無駄に過ごしたくはないッスからね。
……って事なんで、このネタはパスな方向で。
今度は俺の方から、キッチリと別の話題を振らさせて貰いますぜ!!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
奈津樹さんには文句も言わせて貰えない倉津君の回でしたぁ(笑)
こう言うのは必要ないですね。
はい、すみません<(_ _)>
……ってな訳で。
次回は奈緒さんの振ってきたネタをスルーした倉津君が、なにやら気合を入れて話題を振るみたいなのですが。
この場で、一体、どんな話題を振るんでしょうね?
そんな感じの話を書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来てくださいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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