1342 奈緒さんが有名人だとバレると不味い……のか?
地元の店にやって来た倉津君と奈緒さん。
そこで思わぬ再会を果たすのだが、その当の本人である奈津樹さんが、早速、尚さんの正体に気付いたみたいで……
***
……そんな訳なんで奈津ネェに連れられて、奈緒さんとは、ちょっと離れた場所に移動する。
勿論、離れてると言っても、奈緒さんが視界から外れない程度にだ。
なんと言ってもあの人は、1人で放って置いたら、なにを仕出かすか解らねぇからな。
それに奈緒さんは有名人でもあるから、なにかあった時、早急に対応しなきゃいけないからな。
まぁそんな中、奈津ネェは開口一番、奈緒さんの事を聞いてくる。
此処は、当然の結果だな。
「真琴」
「うっ、うん?なっ、なんッスかね?」
「なんでアンタが、奈緒グリの向井奈緒を連れてる訳?」
「いや、あのな、なんつぅか、奈緒さんとは元バンドの仲間なんだよ。だから、一緒に居る訳だな。うんうん」
完璧だな。
これと言った嘘は付いてないし。
まぁ勿論、彼女だと言う事を伏せてる訳だから、全ての真実を語ってる訳ではないがな。
「ハァ……あのねぇ、真琴。別に詮索する気は無いけど。嘘を付くなら、もぉちょっとマシな嘘を付きなさい。そんなんじゃあ、あからさまにバレバレじゃない。……実は、彼女とかなんじゃないの?」
ウッソ!!
なんで、そんな簡単に真実が解るんだよ!!
それに、詮索しないって自分で言ったクセに、舌の根もウェットな内に、思いっ切り詮索してきてるじゃんかよ!!
「なっ!!なっ!!なっ!!な訳ねぇじゃん!!そんな訳ねぇっての!!」
「あぁ~~あっ、もうダメだこりゃあ。こんな程度でモロに動揺しちゃってるし」
「してねぇ!!してねぇってばよ!!動揺なんて微塵もしてねぇってばよ!!」
「あぁもぉ、相変わらず、声が大きくて、うるさいなぁ。……ってか真琴」
「はっ、はい。なっ、なんッスかね?」
「普通に考えても。昔のバンド仲間程度で、奈緒グリの向井奈緒が、こんな時間まで、アンタと2人で居る訳ないでしょ」
「いやいやいやいや、居るって、居るって。ホント仲が良いだけなんだって」
「ふ~~~ん。じゃあ、仲が良いだけで、アンタを東京ドームのライブに出演させてくれるんだ。ある意味、凄いね、アンタって」
グッ!!そこまで知ってんだな。
ならもぉ、俺の限界は間近まで迫ってるぞ。
(↑速攻、限界な俺)
「いや、まぁ、それは、なんつぅか。俗に言う、あれッスな。まさに友情の証ッスな」
「あぁ~~っそ。まだ、そうやって嘘付くんだ。……じゃあ、もぉ良いや。アンタに聞く事はもぉ何もない」
「ちょちょちょ!!奈津ネェ!!」
「うっさい。ついて来んな」
ヤベェ、ヤベェ!!
奈津ネェが勢い良く、奈緒さんの所に向って行っちまったよ。
これ、どうすんべ?
「えぇっと、確か、向井奈緒さんだったよね」
「えっ?あぁ、うん。そうだけど」
「ちょっと聞きたいんだけど。向井さんってさぁ。真琴の彼女なの?」
「うん。そうだね」
・・・・・・
折角、必至こいて隠してたのによぉ……そりゃねぇよ奈緒さん。
なんでそんな簡単にバラしちゃうかなぁ。
「やっぱり、そうなんだ。……あぁ、因みにだけど、向井さんって、奈緒グリのヴォーカルで間違いないよね?」
「そうだね」
「そうなんだ。でも、こんな事、バラしちゃって良いの?」
「うん。全然良いよ。こんなの、なんの問題もなし」
「ふ~~ん。アッケラカンとしてるんだね」
「まぁね。でも、木元さんも、こんな話を聞いた割りに、アッケラカンとしてるんじゃない?世間的には、結構、衝撃的な事実だと思うんだけど」
「まぁねぇ。確かに、そうなんだろうね」
あれ?
なんか……あれ?
あれだけの衝撃的な事実を聞いた筈なのに、本当に、なんも起こらねぇのな。
なんだこりゃあ?
こりゃあ、奈津ネェの性格の問題か?
いや、これはもぉ明らかにそうとしか考えられないな。
「まぁまぁ、そんな事は、別にどうでも良いんだけどね。折角、来てくれたんだから、店に寄って行ってよ。席、直ぐに準備するからさっ」
「そぉ?じゃあ折角だから、お願いしよっかな。ちょっと飲みたい気分だしね」
「OKOK。その辺も準備しておくよ。その代わり、順番飛ばしをするんだから、店にサインぐらい残して行って貰うよ」
「了解。心得た」
「(『心得た』って。フフッ……変な人)じゃあ早速、中で準備して来るね。真琴、他のお客さんにバレたら面倒だから、店の裏口から入って来るんだよ」
「あぁ、ウッ、ウッス」
そう言って奈津ネェは、店の入り口から、直ぐに店内に入って行く。
ホント、豪胆と言うか、なんと言うか、相変わらずな人だなぁ。
「ふふっ……変な子だね」
「あぁまぁ、奈津ネェは、昔から、あぁ言う調子の人ッスからね。何が有っても、中々動じない人なんッスよ」
「そうなんだ。……だったら、あの子、クラの初恋の人でしょ。違う?」
ブッ!!なんでそんな過去のプライベートな事までノーヒントで解るんッスか?
エスパーか!!
いや違うな。
奈緒さんも奈津ネェも洞察力に秀でた人だからこそ、こう言うのが簡単に解るんだな。
若しくは、俺が単純な生き物だからこそ解り易いだけなのかもしれないがな。
「そっ、そうッスね」
「ヤッパリなぁ。だと思ったよ。あの子、クラの好きそうなタイプだもんね」
「まぁ、そうッスね。でも今は知っての通り、奈緒さん一筋ッスよ」
「知ってる、知ってる。十分に愛して貰ってるよ」
俺も愛して貰ってるッス!!
……っと思った瞬間、奈緒さんは、俺のそんな気持ちを察してくれたのか、腕を組んでくれた。
ヤッパ、最高ッスね、奈緒さん!!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
豪胆娘、奈津樹さん(笑)
幼い頃とは言え、関東一円を支配する様な大きな組の息子である倉津君や、世界の異端児である崇秀を可愛がってただけの事はありますね。
多少の事では、なにも動じる事は無かった様です(笑)
なので此処では特に問題もなく、店内に入る事が出来たみたいなのですが。
一体、此処は、どの様なお店なんでしょうね?
前回、倉津君が『不良の溜まり場に成っている様な店』と言っていましたが、今もそうなのでしょうか?
次回は、その辺を踏まえながら、奈緒さんとの2人の時間を書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来てくださいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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