1341 思わぬ繁盛と思わぬ再会

 ライブもホランドさんの反省会終え。

その後話し合った結果、倉津君の地元に行って、少し飲む事に成った二人なのだが……


***


 タクシーを飛ばして、地元に着いたのは午前2時40分。

首都圏を抜けたらスゲェ道が空いていたのも有って、予定していた到着時間よりも20分も早く地元の駅前に到着した。


これは、中々好調な滑り出しだ。


……ってな訳でだ。

此処からは、その幸運に乗っかって、昔よく行っていた居酒屋に滑り込めば、それでOK。


なんて思いながら、奈緒さんの手を引っ張って、店への移動を開始する。


***


 はぁ?なんだ、これ?

こりゃあ、一体、何が起こってやがるんだ?


なんで、この時間帯に人が並んでんだよ?

もぉ直ぐ3時に成ろうって言う時間帯なのに、なんでまだ店の前に、こんなに行列が出来てるんだよ!!


クッソォ~~~!!そんな馬鹿な!!

此処のアホ熊髭親父の店なら、どうせ閑古鳥が鳴いて、1人寂しく暇してると思ったから来てやったのによぉ。


なんだよ、この予定外の展開は!!

なんで熊髭のオッサンの店が、こんなに繁盛してやがんだよ!!


……って、俺が、ゴチャゴチャ言ってる、この店って言うのは。

地元にある『洋風居酒屋ネスト』って、ちょっとコジャレタ店なんだけどな。

店の雰囲気は抜群に良い感じに仕上がってるし、料理も美味いんだが、どうにも客が寄り付かない奇妙な店だったんだよな。


っだまぁ、なんでそんな事に成ってるのかと言えばな。

なんつぅか、如何せん、この店のマスターである熊髭親父の態度がどうにも良くないんだよ。


此処のオッサン、料理マニアで本物のアホだから。

直ぐに自分の作った料理の事で、客と喧嘩ばっかりするんだよな。

……っで、それが原因で、店に客が寄り付かなくなってしまった経緯があるんだよ。


だから、中学1年の初め位までは、酒を飲ましてくれるから、俺や、崇秀の馬鹿みたいな奴の馬鹿の集落と化していたんだよ。


なのに久しぶりに来てみたら、この盛況ッぷり。

この様子じゃ、此処2年程で、なんか事情が変わったみたいだな。


それに、これだけ人が並んでたんじゃ、店にも入れそうにない雰囲気だな。



まいったなぁ。


此処が唯一の頼みの綱だったんだがな。

やっぱ、カジの親父さんの店に行くしかないのかのぉ。


そうして悩んでいると……



「こんばんわ♪今からですと1時間待ちになりますが、どうされますか?」


……っと、感じ良く。

店のウェイトレスさんらしき人物が、綺麗な声で、声を掛けてきてくれたんだが……


あれ?


この聞き覚えのある声って……



「うん?ひょっとして、奈津ネェ?奈津ネェじゃねぇのか?こんな所でなにやってんだよ?」

「うん?あぁ、な~~~んだ。誰かと思ったら真琴か……なら、サッサと帰れ、シッシッ、来んな」


オイオイ、ネェさん、そりゃあねぇだろう!!

折角、東京ドームからタクシーを飛ばしてまできたって言うのに、その野良犬を払う様な『シッシッ』ってのは、あまりにもねぇんじゃねぇか?


相変わらず、感じ悪いな。



「あれ?クラ、この子って、知り合いなの?」

「そうッスよ。小さい頃よく遊んでくれた1つ上の近所の姉ちゃんッスね」

「そうなんだ」

「あぁ後、この姉ちゃんの実家が『メルク』って、ちょっと有名なパン屋をやってるんッスよね」


そう言う姉ちゃんだ。

実際、奈津ネェは、口は悪いが面倒見が良く。

ガキの頃の俺や崇秀なんかとよく遊んでくれたし。

此処の親ッさんも、そんな風に俺等が奈津ネェと遊んでたら、よく店の菓子パンなんかくれる様な間柄だったから、結構深い知り合いなんだよな。


……っでまぁ、そんな訳だからだな。

以前真上さんの店に行ってた時、お土産として、今人気の『メルクのケーキ』を簡単に持って行けた訳でもある訳だ。


あぁっと最後に、これは完全に余談なんだがな。

この奈津ネェは、俺の初恋の相手だったりするんだけどな。


決死の覚悟を決めて告白したら、たった一言だけ『キモッ』って言われて、アッサリ撃沈。

俺の初恋は儚くも散っていったっと言う、非常にホロ苦い経験をさせられた女性でもあったりする。


いや、今、そんな話は、どうでも良いな。


すまぬ。



「へぇ~~~っ、あのメルクの娘さんなんだぁ」

「どうも、今、真琴からご紹介に預かりました。私、木元奈津樹ね」

「あぁ、どうも、向井奈緒。宜しく」

「向井奈緒?……うっ、うん?う~~~~~ん?」


あぁ、これってヤベェんじゃねぇの!!

そんな風に疑問を持ちながらも奈津ネェが、サングラス越しの奈緒さんの顔を滅茶苦茶ガン見しだしてるし。


これって奈津ネェが、速攻で奈緒さんの正体に気付いたんじゃねぇのか?


なんて思っていたら、俺がフォローする間もなく……



「……真琴。ちょっと用があるから、コッチに来なさい」

「うっ、うん?なっ、なんだよ、奈津ネェ?どうしたんだよ?」

「良いから、ゴチャゴチャ言わないで良いから、早くコッチに来なさい」

「いやいや……話があるなら、別に此処ですれば良いじゃん。なっ、なんだよ?」

「ウッサイ……黙って、早くコッチに来いって、さっきから何回も言ってんでしょ。私に何回言わせる気よ?」

「あぁ……はいッス。すんません」


うん……相変わらず、傍若無人なお方だ。

俺の意見なんて、全く聞く耳を持ってくれない。


まぁ、昔からこう言うネェちゃんではあるんだがな……


けどよぉ、此処で俺は、ある事を確信したんだがな。

この人が俺の初恋の相手だって事は……

俺、相当、こう言う活発なタイプ……っと言うか、ややSっ気があって、少しヤンチャっぽい女の子が好きなんだな。


奈緒さん然り。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>


倉津君が奈緒さんを連れて行こうとしたお店。

以前は閑古鳥が鳴いていた様な店だったのにも拘らず、今は大繁盛(笑)


そして更に驚くべき事に、倉津君の初恋の相手である奈津樹さんが、そこでバイトをしており、思わぬ再会を果たす事に相成りました♪


そして更に更に、その奈津樹さんが、どうやら奈緒さんの正体に早くも気付いた様子。


さてさて倉津君は、このピンチをどう乗り切るのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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