1340 午前様なだけに何処に行こうか?

 ホランドさんの長い反省会が終わり。

その後、奈緒さんと二人に成った倉津君なのだが……これからどうするのか?


***


 まぁそんな、なにやら訳の解らん不幸な事がありながらもでござんしてですな。

トッチャン坊やが、この場から去る事によって、漸く、愛しの奈緒さんとの貴重な時間を持つ事が出来た訳なんだがな。

なんと言っても時間が、既に1時半を回っていて、まずはこのままじゃあ身動きが取れない状態になっていた。


当然の如く、この時間じゃ、電車自体が終電を終えて走っちゃあ居ねぇしな。

まぁ、仮に電車がまだ走っていたとしても、世界的に有名になってしまっている奈緒さんを電車に乗せる訳にもいかないんだけどな。


なら、どうするか?っと言ったら。

此処は、タクシーで帰るのが常識の範疇ってもんなんだが、一応、此処からどうしたもんかなぁ?っと思い。

まずは横に立っている奈緒さんに、お伺いを立ててみる。



「うわぁ~~~マジかぁ。チンタラ喋ってたら、もぉこんな時間に成っちまったッスね。奈緒さん、これからどうしましょうか?」

「うん?どうするって、なにを、どうするのよ?」

「いや、このまま家に帰るのか?ホテルに帰るのか?ドッチに帰るんッスかって話ッスね」

「うん?なんでそんな選択肢に成るのよ?大体にして私、ホテルなんて取ってないよ」

「えっ?あぁ……そうなんッスか?」


あらま、これはまた意外な展開。

俺は、テッキリ、日本に家があったとしてもセキュリティーの問題とかが残るから、奈緒グリのメンバーと同じホテルに予約を入れてるとかと思ってましたよ。


でも、そこはそうじゃないんッスね。



「そうだよ。家があるんだから、ホテルなんて取らないでしょ。普通は家に帰るでしょ。……っとは言っても。折角、日本に帰って来てるのに、このまま家に帰るってのもなんだよね。なら、これから、どっか行っちゃおうか?」

「あぁ、そうッスね。それも悪くないッスね。因みに奈緒さん、どっか行きたい所とかあるッスか?」

「う~~~~ん。そうだねぇ……あっ!!」


『あっ』っと言いながら、奈緒さんが何かを思いついたような表情を浮かべた。


……って事はだな。

この時間であっても、何処かに行きたい場所があるって事だよな。


まぁ、奈緒さんは、この一年、日本を離れてたから、その間に出来た24時間やってる商業施設か、なんかかの?

取り敢えず、行き場所を聞いてみて、行けるかどうかを判断してみよう。



「おっ!!なんッスか、なんッスか?どっか、行きたい所が有るんッスね。それって、どこッスか?」

「無い」


ブッ!!

もぉ、散々期待を持たせて置いて、無いんかい!!

だったら、今さっきの『あっ!!』は、なんの間だったんッスか!!


っとまぁ、此処でそんなツッコミを入れれててもしょうがないので、前向きに、前向きに話を進めましょう。



「なっ、無いんッスか?」

「無いねぇ。……って言うかさ。今からでも行けそうな関東圏での遊び場所なんかじゃ、もぉ以前に遊び尽くしてるからねぇ。これと言って、行きたい所なんて、どこも無いんだよね」


なるほどなぁ、そう言う理由だったか。

確かに奈緒さんは、中学生の頃から色んな場所で遊んできてるから、もう行きたい場所なんてものがないのも頷ける話だな。


なので此処は納得。



「あらら、そうなんッスか?」

「うん、そうだね。見事に何所もないなぁ。……ってか、クラはどぉなの?」


こうやって逆に行きたい場所を聞かれたんだが……この時間からと成ると意外と難しいなぁ。


まぁそりゃあな。

繁華街の方に行きゃあ、幾らでも遊ぶ所は有るんだろうけどよぉ。

そんな有り触れた遊びじゃ、奈緒さんは、絶対に満足してくれないだろうし、なにより世間体的にも、奈緒グリのボーカルが夜遊びしてるのがバレたら色々と問題になりそうだからなぁ。


故に、選択肢がかなり絞られてて、ホント難しいんだよな。



「俺ッスか?俺は、奈緒さんさえ一緒に居てくれれば、何所でも良いッスよ。寧ろ、それ以上に望む事なんてないッスね」

「言うと思ったよ。でも、それじゃあ、八方塞なだけじゃない」

「そうッスよね。困ったもんッスね」

「じゃあさ、じゃあさ、取り敢えずはさぁ。クラの地元に行こうよ」

「俺の地元ッスか?またなんで?」

「ちょっと気分的にも飲みたいじゃない。折角ライブも、はけたんだしさ。クラに地元なら、未成年でも入れてくれる店ぐらい知ってるんでしょ」


あぁ……なるほど、そう来ますか。

確かに首都圏じゃ人の目に付くが、ウチの地元じゃ、そこまで警戒する必要性はなさそうだな。

なんと言っても、倉津組の本家があるような街だから、実際そう言う店もありますし、なにより、もしそこで何か問題があったとしても、地元なら揉み消しちまう事も可能だろうしな。


それにだな。

此処から、行く場所も決まらず。

済し崩し的に奈緒さんの家に行ったんじゃ、また奈緒さんが気を使って、ゆっくり出来ねぇもんな。


なら、実に悪くない提案だな。



「あぁ~~~そうッスね。じゃあ、そうしてみますか」

「だね。……決定♪」


……つっても、地元に到着したら、こりゃあ間違いなく3時は超えちまうだろうなぁ。


今が年末の忘年会シーズンとは言え、あの店……まだ開いてっかな?

……って言うか、それ以前の問題として、閑古鳥泣き捲って潰れてねぇだろうな?


店が店なだけに、ちょっと不安だ。


いやまぁ、いざとなったら、深夜営業してるカジの親父さんがやってる居酒屋があるから良いっか。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


流石は奈緒さん。

昔、遊びまくってただけに「行きたい場所がなかった」みたいですね(笑)


……っで、結論的に「未成年でも飲みに行ける場所」があるであろう、倉津君の地元に行く事に成ったみたいなのですが。

なにやら「店が潰れてしまっているかもしれない」っと言う怪しげなワードが出てきており。

そんなヤバそうな店を宛にしてて、倉津君は大丈夫なんでしょうかね?


ってな感じのお話を、次回は書いて行こうと思いますので。

また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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