1337 論戦?感覚派VS理論派
ホランドさんの反省会に初参戦!!
……したまでは良かったが。
そのあまりの長さにウンザリした倉津君は、それに関して少し物申す様で……
***
「なぁ、旦那、悪いんだけど、ちょっと良いか?」
「えっ?クラ?」
俺がこの場で意見するなんて微塵も思ってなかったらしく。
こうやって俺が口を開いた事によって、どうやら奈緒さんを驚かせてしまったらしい。
そりゃあ、すんませんでしたな。
「なんだ?どうかしたか?」
「あぁ、いや、別に、特にはどうもしねぇんだけどよぉ。この反省会をしてる中で、ちょっと気になった事が有るんだが。それについて少し旦那に意見させて貰っても良いか?」
「気になった事があるだと?……それはなんだ?遠慮せずに、なんでも言って見給え」
まぁこれを言ったら、間違いなく、口論の火種にはなるだけなんだろうけどもだ。
どうにも奈緒グリのメンバーは、事この事に関してはトッチャン坊やに言い難いみたいだからな。
故にだ。
此処は一発、反省会を簡略する為にも、部外者の俺が思い切り口論した方が良いのかも知れネェ。
さっきも言ったが、こんな無駄に長い反省会をいつまでも続けてたら、奈緒さんやエリアスの姉ちゃんが可哀想だし、美樹さんとのデートに行きたいであろうエディのアンちゃんも可哀想だ。
ツンツン頭は知らん(笑)
「いやな。ホント、そんな身構える様な大した話じゃねぇんだけどな。旦那の言ってる、その反省点って言うのは、余りにも無駄が多過ぎるんじゃねぇかなぁ?って思ってよ」
「無駄が多い?……どこがだ?それに、何故そう思う?」
「いや、何故もそうもねぇよ。確かにな。旦那に言う、ライブ全体での反省点は、的確で、的を得てる意見ではあるから非常に有用ではあるんだけどな。……曲に対する反省点が、どうにも良くねぇんだよな。あまりにも事細か過ぎねぇか?」
「細部に渡る分析は良くない、と言いたい訳か?」
「いや、そうじゃねぇよ。それも悪かねぇよ。但しな。それは、自分の反省点としての話だ。他人の反省点は、もう少し大雑把でも良いんじゃねぇのか?」
冷静になって考えてみ。
今の状況には、色々と問題が有るんじゃねぇか?
要するに俺は、同じ反省点なら『何度も指摘する必要性はない』って事が言いたい訳だ。
「そうか?大雑把なのは、余り感心せんがね」
「本当に、そうかぁ?」
「あぁ、間違いない。大雑把な真似をしたらした分、後々問題が増える一方だからな」
「そっか。じゃあ、再度聞くがな。旦那が指摘した、みんなの反省点ってのは、いつから同じ部分を繰り返してるんだ?ひょっとして、前回のライブでも、同じ反省点を指摘してなかったか?」
「前回のライブで指摘した部分だと?……まぁ確かに似た部分を指摘した記憶はあるな」
そう言って旦那は、確認をする為なのかして、ノートパソコンで前回の反省点をチェックしてるみたいなんだが……
アンタ、ホント、マメだなぁ。
この様子じゃ、過去の反省点も全部データ化してそうな雰囲気だぞ。
「だろ。だったら、もぉそこは、人に言われても治らねぇ部分なんじゃねぇか?だから、指摘するだけ無駄なんじゃねぇの?」
「何故だ?何故そう思う?」
「そりゃあ、旦那。そうやって何回も言われてても、自分で治そうとしねぇんだから、他人が指摘した程度で治る訳ないじゃかよ」
解るかなぁ?
早い話な。
他人が口で弱点を指摘して治そうと思っても、本人にその意思がなければ、治らないモノは、幾ら言っても治らねぇもんなんだよ。
言わば、こんなモノは、自主性がなきゃあ絶対に治らない。
もしそれでも、本気で、それを治させたいと思うなら、実践的に楽器を弾きながら、的確な指導をした方が早い。
こう言うのって言うのは、指摘するにしても、理論や理屈だけじゃ、意味がねぇんだよな。
まぁその辺は、崇秀のアホンダラァに、ライブを心得ってもんを教えて貰ったからこそ(序章14話参照)、今はそう思えてるだけなんだけどな(笑)
アイツの教え方は、特に実践的だからな。
アホの俺でも、非常に解りやすかったんだよな。
「まぁ、確かにそうかもしれないが。弱点が見えてる以上、そこを指摘しない訳にも行かないだろ」
「まぁ、そうだわな、そうなるわな。けどな、本気で相手の弱点を克服させたいなら、長々と口で言うより、実践的に指摘した方が早くねぇか?」
「実践的な指摘するだと?」
「そぉそぉ、解り易く言えば、習うより慣れろってこったよ」
「ふむ。言ってる意味は解るのだが。それは具体的に、どう言う方法だ?それに、どう言う理論の基づいて、その理論は成立しているんだ?」
流石、理論派だな。
何処まで行っても、物事を突き詰めて考えた上で、理論で、相手を理解させようとしてやがる。
そして自身も、相手の理論や理屈が完璧でないと、どうにも納得出来ない性格みたいだな。
感覚だけで生きてる俺とは、まさに相容れない感じだな。
けど、あれだぞ。
偶には、アホの言う戯言にも耳を傾けてみるもんだぞ。
そこには、理論だけでは見えなかった真実が有ったりするからな。
「なぁ~~にな。こんなもんには理論もヘッタクレもねぇんだよ。ただ単に一緒に演奏する相手を、いつもより深く意識だけして演奏すりゃあ良いだけのこったからな」
「はぁ?どう言う事だ?」
「まぁ、理論派の旦那には、こういう感覚的な話ってのは理解しがたいだろうし、逆に俺が旦那に説明し切るのは難いから。まずは実践してみっから、それを見てろって」
「あっ、あぁ……わかった」
素直なやっちゃな。
興味があるのかして、こう言う時は、意外にも反論しねぇんだな。
ならまぁ、取り敢えずは『論より証拠』って感じで、俺に言ってる事を証明してみるかね。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
理論派の感覚は、感覚派には解らない。
勿論その逆も然りで、感覚派の人間には、理論派の思考を完全に読む事は難しい。
これこそが『他人との感覚の違い』っと言うものなのですが。
逆に言えば、これがあるからこそ、人と言うのは進歩して来た訳でもあるんですよ。
ブッチャケ、同じ感覚の人と話し合いをしても、行き着く先は、殆ど変わりませんからね(笑)
ただまぁ、その進歩に至るには、聞く側が『相手の意思が尊重出来る度量』がないと無理ですし。
話す側も『相手が納得出来る様な説明』若しくは『それを実践しなくてはならない』訳でもありますがね。
さてさて、そんな中。
どうやら倉津君は、その後者を選んでホランドさんを納得させようとしてるみたいなのですが。
上手くいくのでしょうか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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