優しさの裏返し 陽紀SIDE
第39話
家を飛び出した恋音を探しながら考えた。
さっきの恋音の言葉の意味を。
恋音?どういう意味?
恋音にだって、未来はあるだろ?
恋音は俺たちの高校にいた。
「恋音?」
「…ごめんなさい。ごめんなさい。」
謝り続ける恋音。
「恋音?落ち着いて?…なにに謝ってるの?」
「ずっと嘘ついてたの。…わたしね、病気治らなかったの。もう生きられないの。」
「恋音…?嘘だよな?」
今にも泣きそうな恋音の顔を見れば嘘じゃないことくらいわかってたけど、言わずにはいられなかった。
「嘘だったらいいのにって何回もおもったよ。」
「……」
「ハル、ごめんね。わたしね、妊娠してる。」
呆然とする俺を見ながら恋音は笑顔をつくる。大きな瞳を不安定に揺らしながら。
「どうしても、生みたかった。でも、生めるかわからないんだ。だって、それまでに病気、進行してるから。…この世にいないかもしれないから。」
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