第44話

やば…本当私なにやってんだよ…。


浮かれて、最終確認怠って…、

それで何が秘書だよ…、


悔しくて悔しくて仕方なかった。


涙は止まらなくて、私は30分程、化粧室に籠もっていた。


…すると、誰かが数人で入ってくる足音が聞こえた。


「…ねぇ、やばくない?

あんまりにも可哀想だったよね」


「本当だよ、なにも本社から重役が来る会議であんな事しなくても…


ーーー…ねえ、美月 」



…ーーー美月 ?



美月って櫻井さんの事…だよね?

櫻井さんもいるのだろうか、



「だってムカつくんだもん、天宮先輩」



はっきりと聞こえた彼女の声だった。

間違いなく、先程まで私の隣にいた櫻井さんだった。


「でもさ、天宮さんすっごく綺麗だよね、

会社では1番美人だって言われてるよね」


…褒められてもこの状況では嬉しいと思わない。


「だからって調子に乗ってんだよ、

社長に相手にされてないのに忠犬ハチ公みたいに従っちゃって、何を勘違いしてんのって話じゃん?」


「美月、それはいいすぎだって〜」


そう言いながらも彼女達は笑っている。

私は段々、怒りが湧いてきた。


「だからさ、予算案違う数字出したの、

そしたらまんまと引っかかって社長が赤っ恥じゃん、ウケるよね〜」


…そんな、、、酷すぎる、


まだ彼女が間違えただけなのであれば、

私はこんなに怒りが心頭になる事もない。

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