第37話

「そうかい、ゆくゆくは彪雅の右腕的な秘書に成長できればいいんだがね」


困ったような会長の表情は、

櫻井美月を知っているような素振りだ。


社長の秘書…


私では務まっていないからだろうか…

そうだとするのなら、私はいらないのだろうか、


「俺の秘書は天宮だけだ」


急に社長が口を開いたので、思わず隣を凝視してしまった。


…急に何なの、?

心臓がドクンと高鳴ったのは気のせいだろうか、


「ははは、勿論わかっているよ彪雅、

それくらい成長すればいいなという話だよ」


会長は笑ってグラスに口をつけた。


その後は、ワインがほろ酔い程度に回り、

楽しく会食ができ、お開きとなった。


お2人は、迎えの高級車に乗って、自宅へ帰って行った。


私と社長は来た時と同じ、本井さんの運転する車に乗り帰路を進んでいた。

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