第26話
…食べてくれるよね?
まさか接待で会食なんてないよね、?
社長のスケジュールを朝から何回も確認していたけど、接待の予定はなかった。
お昼になり、ついに社長にお弁当を渡す時が来た私はドキドキする胸に深呼吸し、社長にお弁当を差し出した。
「…社長、最近体調悪そうなので、
これ、お弁当作ってきました。よければ…」
社長に渡すためだけに買った紺色のシンプルな二段重ねのお弁当箱。
…けれど、社長は受け取ってくれなかった。
「悪い…食べたくない」
「…っ、」
「あまみ…」
「そう…ですよね、わかってました。
すみませんでしゃばっちゃって…
社長のお口には私の作ったものなんか合いませんよね!失礼しました!」
早口でそう告げて、私はそのお弁当箱を自分のデスクに置きっぱなしで社長室から出た。
「…っ、ふぇ、っ」
涙が溢れてきて、今までの私が馬鹿みたいだった。好きな人に作るみたいにウキウキしちゃって…、
そりゃそうだよ、庶民の小娘が作ったものなかんか食べるわけないじゃん、
考えればわかるのに馬鹿だな私…、
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