第24話

「天宮せんぱーい」


お昼休憩のいっときの至福に、何故か聞きたくない声が入ってきた。


「…っ、」


佳菜美はあからさまに嫌そうな表情をして、

私に目でじゃあいくね、と言って、

休憩室を出ていってしまった。


「天宮せんぱい、お昼は何食べてるんですか〜?美月はお弁当作ってきてるんです!」


「へ、へぇ〜…」


お茶淹れられないのに、料理はできるんだ。

不思議すぎる、本当に…。


櫻井さんが開けたお弁当の中身は、

可愛らしい彩りがあるちゃんとしたお弁当だった。


ちゃんとしたっていうのも失礼かもだけど…


「美月、料理だけは得意なんですよ〜

あ、社長って何が好きとか嫌いとかわかりますか〜?」


急にそんな事を聞いてくる彼女に、

一瞬、時が止まってしまう私。


「…うーん、ハンバーグとか…好きなんじゃない?」


ただ、それしかわからない。


だって唯一、私が作ったもので彼が食べてくれたものだから。


「そうなんだ〜、明日、社長にお弁当作ろうかなあ〜」


…私と同じ気持ちになってしまうよ、


なんて言えず、私は引き攣った笑いで、

彼女にそっか、としか返せなかった。

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