第23話

…ありがとう、?

嘘…今の社長が言ったの?


コーヒーはいつもブラックしか飲まないのに、

意味…わからない。


社長はコンビニのアイスコーヒーに口をつけ、

少し眉間に皺を寄せたが何事もなかったように作業を続けている。


…何なの、


黒い感情が湧き上がり、私はモヤモヤした気持ちのままお昼休憩に入った。


休憩室には佳菜美がいて、

私の疲れた顔を見て、同情してきた。


「まさかさ、奈那のところ行くなんてね…

ご愁傷様としか言いようがないわ」


佳菜美は私とは一転、面倒が無くなったので、

この間よりスッキリした表情をしていた。


「…あの子、何者なの…?」


「御堂グループの本社のお偉いさんの娘だって、上司が言ってた。コネ入社なんだろうね、」


そりゃあ、箱入り娘なわけだ。

だって本当に何にも出来ないんだもの。


「…はあ、もう倍疲れる、

っていうか社長はあの子には優しいの!」


そこが唯一意味がわからないところだ。

あの大魔王様がだよ?優しいって何?


「奈那、それやきもち?」


佳菜美はニヤニヤしながら聞いてくる。


は?やきもちなわけないじゃん!

私はあの態度の違いが気に入らないだけ。


あんな態度できるなら私にも優しくしろって話だよ!


「…はあ、疲れるから辞めて」


「ごめんごめん、でも社長がそんな態度なんて珍しいわね、気に入らない子はとことん態度に出るからねあの人、」


佳菜美も不思議そうに首を傾げていた。

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