第10話

そして朝7時ーー…


私のマンションに停めてある、会社の社用車である高級車を運転し、社長宅に到着した。


社長の家は、これまた都内で1、2を争う土地相場の場所にあり高層マンションの最上階に住んでいる。確か…25階だったかな?


エントランスで少し待っていると、

社長が歩いてきた。


「おはようございます」


「ああ」


おはようが返ってこないのはいつもの事だから、気にしてない。

朝早いのに社長はまったくもって眠そうではないし容姿も完璧である。


私は朝から目が浮腫んでいて、大変だったのに……今も若干、浮腫んでいる。


「どちらへ迎えばいいですか?」


「本社まで」


かしこまりましたと言い

御堂グループの本社へと車を走らせた。


本社は会長がおられる場所だ。

社長は週に一回は本社に呼び出されているらしく、いつも無表情だが、その日は心なしか不機嫌なオーラの日が多い。


こういう時は私に無理難題を言ってくる事があるのだ。…たぶん当たられている…。


「天宮」


「は、はい」


「たい焼き」


……ほらね?


「たい焼き?」


「たい焼き、頼んだ」


たい焼き、頼まれました。


そうこうしてる内に本社に着き、

社長は「また1時間後」と言って本社ビルへ入って行った。


何度来ても、本社ビルには慣れない。

格が違うんだ。何回建て?と思う程高いビルに目眩さえしそうになる。


そうだ、たい焼き買いに行かなきゃ…。

…と言うか、何味がいいのよ…!

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