第7話
…ーーー
あの後、なんとか資料は間に合い、
社長と一緒に都内の工場へ視察へ行って、
会社に戻ってきたら、とっくに定時など過ぎていた。営業部の前を通ると、もう電気は消えており誰もいなかった。
まあ、いつもの事なんですけどね、
必ず、私が会社から1番遅く帰るのがお決まりだ。
社長は自分の車で自宅へ帰るようで、
私も明日のスケジュールを確認し、帰り支度をし会社を出た。
今日は社長を自宅まで送らなくて良かった、と遅い時間ながらラッキーだと思った。
社長の秘書兼運転手みたいになっているところもあるが、ちゃんと運転手はいるのだ。
初老の男性で、昔から御堂グループの運転手を務めているベテランだ。
その人に送って貰えばいいのに、
社長は何故か、帰宅する時に私に運転させる事が多い。自分で帰ってよ、なんて言えないから黙ってコキ使われていますが…。
私は、会社から出て少し歩いた場所にある高層マンションに住んでいる。
都内では土地相場が高い場所にある為、
家賃もそこそこ高いのだろう。
エントランスにはドアボーイが居て、
いつも私に頭を下げてくれる。
遅くまでご苦労様ですと心の中で言って、
私も軽く会釈した。
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