第6話

…これはもしかして、、、

嫌な予感に、私はデスクの上を拭く手を止めると、


「あぁ、悪いな天宮、

資料が濡れてしまったな…ひとつ言うとS工場の会社概要が違っていたから丁度良かったな」


…やっぱり、やり直しって事ですね。

悔しくなって拳を握るがこの男はそんな事に気づく筈もない。


わざと溢したのではないかと思わせる程、一言二言余計なのだ。

…というか、私を馬鹿にしているのではないかと思ってしまう。


「…すみません、すぐやり直します」


「ああ」


もう、本当に天から地へと落とされた気分だ。

イライラしてしまいそうになりながら、

これは仕事だからと感情をコントロールする。


先程のコーヒーを拭いた布巾を洗い流す為に、給湯室へ向かいながら、あと30分ほどで仕上げなければいけないと気持ちだけは焦っていた。

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