第3話

社長室に向かう途中、営業部の前を通ると丁度、ある人物が出てきた。

あ、今日も素敵です…奥田部長。


奥田おくだ拓海たくみ。35歳


若いのに営業部の部長に抜擢されたやり手の人だ。確か、入社1年目で営業成績が営業部トップだったとか…そんな噂を耳にした事がある。


奥田部長はそんな仕事が出来るところと同時にお顔の方も整っていて、秘かに会社内でファンクラブがある程だ。


私はそんな追っかけをしている暇ではないので、入っていないが…毎年入ってくる新入社員の女子達の誰かしらは奥田部長に告白して玉砕しているらしい。


「お、天宮おつかれさま」


「おつかれさまです。奥田部長」


「…ふっ、相変わらず疲れた顔してんなぁ、

まあ、これでも飲みながら頑張ってな」


ポンっと手のひらに落ちてきたのは、

エナジードリンク。


はあ…もう奥田部長ってなんでこんなに優しいの…!!あの男とは大間違いだ。


「ありがとうございます!

ああ、なんか頑張れそうです!」


そう微笑むと、奥田部長は私の頭をポンっと撫でて、またな、っと言って廊下の先へ消えていった。

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