第2話

これが、酒だったらどんなにいいか。

ああ、やってらんない!!


「天宮、コーヒー飲めたっけ?」


塚本くんは不思議そうな顔で私を見つめてくる。そうお察しの通りコーヒーなんて飲めない。まあお砂糖とミルクを沢山いれれば飲めなくはないんだけど…。


「…社長がアイスコーヒーの気分になったって言うから仕方なく飲んでんのよ。

まぁ社長のお金だからなんでもいいんだけど」


…もったいないじゃん。

なんて言えず冷めてしまったコーヒーを煽って空になった容器をゴミ箱に投げ入れる。


最悪…ブラックコーヒー嫌いなのに…

時間がないからって一気飲みしなきゃよかった。


口の中には苦さが残り、私の気分さえも悪くなってゆく程だ。


「相変わらずだな社長も…

天宮はよく5年も社長の秘書やってられるな、

俺なら数ヶ月ももたねぇや」


塚本くんの相変わらず他人事の同情を受けながら、あんたは営業部でいいわねっと皮肉を心の中で言い、聞いてない振りをして休憩室を出た。


ーーー5年目か…


塚本くんに言われた言葉を思い出しながら、

私は今日も大魔王様のところへ向かうのであった。

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