第30話

借金のカタに売り飛ばされたのだから、


私には貯金や、

私的に使えるお金がない 。


あのクラブのオーナーの緑山さんは

優しい人で、


私の売り上げから生活費を

手渡してくれている。


すごく助かっている 。


「こんばんは!

あら、千歳ちゃん!!」


僅かな生活費で、

パン屋で余ったパンの耳を貰う 。


「こんばんは、奥田さん」


このパン屋は私が借金で売り飛ばされる

前に働いていた場所 。


奥田さんは夫婦で、

このパン屋を営んでいる。


「千歳ちゃん、

大丈夫なの?いきなり辞めるっていったから

びっくりしたけど…」


そう、

私はいきなり辞めると奥田さんに

伝えに言った 。


音信不通になるかもしれない 。


そう考え、私はこの店を辞めたのだ。


でも、正直ほっとしている。

またこうやって奥田さんと話せている。


たしかにクラブで働くのは辛い 。

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